三菱重工技報
    Vol. 55 No. 2 (2018)   新技術特集
    技術論文

    適応アレイ信号処理の導入によるアクティブソーナーの高精度化

    Improvement of the Active Sonar with Adaptive Array Processing

    藤島泰郎
    Yasuo Fujishima
    田崎智
    Satoshi Tasaki
    藤島泰郎
    田崎智

    測量船や海底探査ビークルに搭載される海底地形計測·沈底物体探査用のマルチビームソーナーでは,測定対象物の形状を精緻に観測するために角度及び距離の分解能向上が求められている。しかしながら,角度分解能を向上させるには一般にアレイ開口を大型化する必要があり,搭載装置に対する寸法·質量制約が厳しい小型水中無人機では特に困難である。角度分解能が高いヌル走査法を採用するなど,信号処理により角度分解能を向上させる方策もあるが,この場合,計測信号に時間窓をかけて平均化するなどの処置が必要で,角度分解能と距離分解能がトレードオフの関係となり,両立が困難である。本研究では,ヌル走査法において必要となる時間窓幅を大幅に低減し,アレイを大型化することなく,かつ,角度分解能と距離分解能を両立することを可能とする信号処理技術を開発した。実測データを用いて,提案法の有効性を確認した。