三菱重工技報
    Vol. 44 No. 1 (2007)   新製品·新技術特集
    技術論文

    高速発電·電動機を内蔵するハイブリッド過給機

    Hybrid Turbocharger with Integrated High Speed Motor-genarator

    白石啓一
    Keiichi Shiraishi
    小野嘉久
    Yoshihisa Ono
    白石啓一
    小野嘉久

    近年の燃料油の高騰,CO2 排出削減の要求により,大型ディーゼル機関の燃費低減へ向けた取組みが注目されている.ディーゼル機関から排出される排ガスは通常すべて過給機に送られるが,エネルギー回収のため,排ガスの一部を過給機に送らず排ガスパワータービンに導いて発電機を駆動する装置が既に実用化されている.これはターボコンパウンドシステムと呼ばれ,機関出力の約5%が電力として回収される.この場合,過給機は少ないガス量で運転されるから,機関に送る空気の量は減少する.その結果,排ガスの温度が上昇するので,この熱も排ガスボイラで回収し蒸気タービンを駆動する.図1は排ガスパワータービンと蒸気タービンを組合わせて発電するターボコンパウンドシステムの系統図を示す.
    通常過給機ロータの回転エネルギーはすべて燃焼用空気の圧縮に消費される.この回転エネルギーの一部を直接電力に変換するために,過給機ロータに発電·電動機を接続したものがハイブリッド過給機であり,以下の特徴を有している.
    (a)パワータービンとその関連機器,配管が不要で,余分なスペースがほとんど不要.
    (b)電動機として機能させ過給機性能を補うことができる(2サイクル機関では電動補助ブロワの代用が可能).
    (c)排ガス配管内のロスがなく,過給機のタービンでエネルギー変換するので高効率.
    ここでは,当社が開発したハイブリッド過給機の概要について解説する.