三菱重工技報
    Vol. 44 No. 1 (2007)   新製品·新技術特集
    技術論文

    低ライフサイクルコストを指向する一塔式熱分解ガス化溶融ごみ処理システム

    Operation Results of MSW Incineration System with Direct Ash Melting by Thermal Cracking

    寺澤良則
    Yoshinori Terasawa
    佐藤 淳
    Jun Satou
    白井利昌
    Toshimasa Shirai
    寺部保典
    Yasunori Terabe
    保田静生
    Shizuo Yasuda
    寺澤良則
    佐藤 淳
    白井利昌
    寺部保典
    保田静生

    現在資源循環型社会の確立が推進され,特に都市ごみは焼却前に極力リサイクルによる減量化が図られた上で,更に焼却する際にエネルギー回収と灰の資源化が必須条件となる.特に中小規模焼却施設については,熱回収·排ガス処理等により膨らむプラント建設費·維持管理費を低減するシステムが必要となる.このような中,当社が開発した一塔式熱分解ガス化溶融ごみ処理システムは,当社の焼却技術(ストーカ炉,流動床炉),溶融技術(汚泥溶融炉,灰溶融炉),熱分解技術(キルン炉,流動床炉)を融合させたものでこれらのニーズにこたえ,有価物の回収·エネルギーの有効利用及び灰の資源化·排ガス量低減·無公害化を安定して実現できる.また,設備消費電力も従来炉(プラズマ溶融炉付ストーカ炉)に比べ半減できライフサイクルコストに優れた施設である.当社は,釧路広域連合に 120 t/d ×2炉初号機を平成 18 年3月末に性能保証値(定格 120 t/d において,HCl 50 ppm 以下,Sox 50 ppm 以下,NOx 50 ppm 以下,CO 30 ppm 以下,DXN 0.1 ng-TEQ/m3N 以下など)を達成し,引渡しを完了した.本施設はその後 105 日間連続運転,延べ約280 日間運転(平成 18 年 12 月末時点)を達成し順調に稼動している.以下その稼動状況について報告する.