三菱重工技報
    Vol. 44 No. 1 (2007)   新製品·新技術特集
    技術論文

    原子力発電所の信頼性を支える高度フェーズドアレイ技術

    Advanced Phased Array Technology to Support the Reliability of the Nuclear Power Plant

    木村 是
    Tadashi Kimura
    川浪精一
    Seiichi Kawanami
    徳久貴一
    Kiichi Tokuhisa
    高次正弥
    Masaya Takatsugu
    木村 是
    川浪精一
    徳久貴一
    高次正弥

    原子力発電所ではその安全性や信頼性を確保するために定期的に検査が行われており,配管や圧力容器の検査には主として超音波を使った非破壊検査(以下UT:Ultrasonic Testing)が適用されている.UT は材料の内部検査が可能で多くの箇所に適用されているが,検査面側が平滑ではない複雑な形状を有している部位では UT プローブの倣い性が悪いといった問題点などが残されている.また,近年,原子力発電所は運転を開始して 30 年以上経過し高経年化が叫ばれており,健全性を確保するニーズが高まっている.そのため,UT による欠陥の定量化ニーズは高まりを見せており,精度の高い UT 手法が望まれている.
    近年,この課題を解決するためフェーズドアレイUT が開発されてきている.フェーズドアレイ UT は超音波を任意の角度へ発生させたり,任意の位置へ集束させたりすることが可能で,今まで検査が困難な複雑形状部や超音波難透過材の検査に有効である.
    本報ではフェーズドアレイ UT の特徴をいかした表面形状が複雑な部位に UT を適用できるアダプティブUT 法について紹介する.