三菱重工技報
    Vol. 58 No. 1 (2021)   新製品·新技術特集
    製品紹介

    次期主力熱間圧延機 第4世代PCミル

    - 点検·整備の省人化でDX化推進 -

    4th Generation PC Mill Promoting DX (Digital Transformation) on Saving Maintenance Works

    Primetals Technologies Japan
    Ltd.

    鉄鋼品製造の圧延プロセス(鋼を薄く平らに延ばす工程)は近年,自動車の燃費向上·排ガス規制強化のための車体軽量化ニーズに応えるべく,薄板,高張力鋼圧延の要求(高負荷圧延要求)が高い生産性(高速圧延要求)とともに従来に増して高まっている。一方ハイブリッドカーや電気自動車のモータの高効率化のため,モータの鉄芯に使われる電磁鋼板は,板クラウンの小さいものが求められる(高い板断面形状制御要求)。更に差し迫った労働人口減少に対応するため設備保全の省人化や自動化への要求も高まっている。これら要求を実現するための多くの技術が開発されているが,熱間圧延設備においてキーとなるのは高い板断面形状制御能力を持つ熱間圧延機である。Primetals Technologiesでは,このような要望に応えるため,高い形状制御能力を持つ熱間圧延機PCミル(ペアクロスミル)を開発してきた。PCミルは作業ロール,補強ロールにフラットなロールが使えるため,高負荷圧延,高速圧延に対して高い優位性を持つ一方,部品点数の多さからメンテナンスが大変と言う劣位性の側面も持ち合わせていた。次期主力熱間圧延機として開発された第4世代PCミルは,完全油圧シリンダー制御化によりメンテナンス部品の低減とともにシリンダーに組込まれたセンサーを用いて,従来手動でしか行えなかった圧延方向に対するロール位置修正の自動化も可能とした。本報では,第4世代PCミルの特長などを,日本製鉄株式会社瀬戸内製鉄所(広畑地区)ならびに他1社(米国)の熱間圧延機向け第4世代PCミル受注も含めて紹介する。