三菱重工技報
    Vol. 60 No. 1 (2023)   新製品·新技術特集
    技術論文

    RO膜(逆浸透膜)を長寿命化する脱塩性能回復剤の開発

    Rejuvenation Chemical Agent for the Deteriorated RO Membrane

    上戸龍
    Ryo Kamito
    伊藤嘉晃
    Yoshiaki Ito
    大久保宏樹
    Koki Okubo
    横川翔
    Sho Yokogawa
    堀孝義
    Takayoshi Hori
    上戸龍
    伊藤嘉晃
    大久保宏樹
    横川翔
    堀孝義

    世界的な淡水不足の解決手段となっている海水淡水化プラントでは,従来の蒸発法に代わり,省エネを見込める膜法(RO膜)が主流となっている。RO膜の脱塩性能は経年的に劣化していき,やがては必要な脱塩性能を満足しなくなる。その場合,RO膜は新膜へ交換され,使用済みのRO膜は埋め立て処分されるが,この膜交換コストや環境負荷の低減が課題となっている。そこで三菱重工業株式会社では,酢酸セルロース製RO膜の劣化部位を選択的に修復し,脱塩性能を回復させることで,膜交換頻度を低減(長寿命化)させる薬剤(脱塩性能回復剤)を開発した。本報では,酢酸セルロース製RO膜向けの脱塩性能回復剤の特徴とその効果について紹介する。