三菱重工技報
    Vol. 60 No. 1 (2023)   新製品·新技術特集
    製品紹介

    熱供給セクターの脱炭素化に貢献する大容量·高温ヒートポンプ

    Large-scale Heat Pumps up to 200°C to Play a Crucial Role in the Path for Decarbonization of Heating Sector

    Turboden S.p.A
    Sales and Business Development

    大型ヒートポンプ(LHP:Large Heat Pumps)は,天然の熱や産業排熱などの低温の熱源から,地域熱供給網や産業プロセスなどの熱利用者に大量の熱を供給することができる商用規模の熱供給設備である。 ヒートポンプ技術は,脱炭素社会の実現に貢献し,利用者に安価な熱供給を実現することでエネルギーコストを削減する。ターボデン社(Turboden S.p.A,以下ターボデン)は,電気駆動ターボ圧縮機技術に基づく革新的な最高200°Cまでの高温出力が可能な大型ヒートポンプを提供することにより,熱供給の脱炭素化を目指す,全ての熱需要者に貢献することを目標としている。もっとも一般的に受け入れられている2050年ネットゼロという目標,及び脱炭素化分野における現在の技術開発を考慮すると,長期目標を達成するための将来の技術(グリーン水素,CCUSなど)を開発する一方で,その間の成果を得るために短·中期的に迅速に実現可能なCO2削減ソリューションが必要である。熱需要の脱炭素化を実現するヒートポンプは,その即戦力となる技術である。三菱重工業株式会社(以下,三菱重工)のグループ会社であるターボデンは,分散型発電に最適な有機ランキンサイクル(ORC:Organic Rankine Cycle)システムの設計,製造,保守において,40年以上にわたり世界をリードしてきたイタリアの企業である。創業以来,ターボデンは常にエネルギー効率分野のパイオニア企業として活動してきた。ターボデンは,蓄積されたノウハウと三菱重工との強力なシナジーにより,従来の温度域から最高200°Cの高温域まで対応可能な3~30MWの幅広い範囲の高性能大型ヒートポンプをラインアップに加えた。