三菱重工技報
    Vol. 59 No. 3 (2022)   デジタルイノベーション特集
    設備紹介

    AIによる労働災害発生確率予測を活用した現地工事の安全推進活動

    Safety Promotion Activities for Construction Work Using AI-based Occupational Accident Probability Prediction

    三菱重工業株式会社
    エナジードメイン 安全環境管理室
    デジタルイノベーション本部

    昨今の建設業界は高齢化や熟練工の引退·就業者数の低下などの問題があり,建設現場では未経験者の一時的な雇用·就業も増えている。さらに,三菱重工業株式会社のエナジー部門における火力発電プラント建設では,重機·火気·高所作業など危険と隣合わせであり,かつ人材不足,経験不足からくる安全意識の低下で災害リスクは高まっている。一方で社会的要請などから,当社にはより一層の安全管理の強化が求められている。そこでデジタルイノベーション本部協力のもとエナジードメインでは,安全管理施策検討の一つの指標として,従来にはなかった,災害が発生するかどうかを予測する指標を作成した。この指標は建設現地の労働者数や労働時間·監督者数などの情報に基づきAIが計算·出力する仕組みで,データの蓄積とともに予測精度が向上していくものである。この仕組みを活用し,災害を未然に防ぐための先回り安全活動を実施し建設現場の災害低減に努めている。本報ではこの先行指標作成の経緯と活用状況を述べる。