三菱重工技報
    Vol. 43 No. 1 (2006)   新製品·新技術特集
    技術論文

    人と暮らす世界初の本格的コミュニケーションロボットwakamaru

    The World's First Full-fledged Communication Robot "wakamaru" Capable of Living with Family and Supporting Persons

    塩谷成敏
    Shigetoshi Shiotani
    塘中哲也
    Tetsuya Tomonaka
    見持圭一
    Keiichi Kemmotsu
    浅野 伸
    Shin Asano
    大西 献
    Ken Oonishi
    日浦亮太
    Ryouta Hiura
    塩谷成敏
    塘中哲也
    見持圭一
    浅野 伸
    大西 献
    日浦亮太

    当社では,人と暮らす世界で始めてのコミュニケーションロボット wakamaruを開発し,現在,東京23 区内の居住者に限定して販売を行っている.
    wakamaru は,一人の独立した人格として人と接することを目指した親近感と存在感を感じさせるデザ インと,アイコンタクトのある対話による自然で豊かなコミュニケーションや,自分自身の生活リズムを持ちオーナーの暮らしにとけこむ自律行動により家庭生活に役立つサービスを提供することを特徴としている.例えば,① 指定された時間に目覚ましを行ったりオーナーに予定を知らせる(スケジュール管理),② 留守中に移動する物体を検知した場合にメールで知らせる(留守番中の異常通報),③ インターネットを通した様々な情報やサービスを提供する,④ 起床時や帰宅時などオーナーが決めた時間に返事がない場合に指定の連絡先に知らせる(オーナーの異常を判断 して通報)などを行える.
    このような人と暮らすロボットは,指示を受けて初めて行動するのではなく,対人安全性を確保しつつ常に自律的に行動し,家族の暮らしに溶け込む必要がある.Wakamaru は,"時刻""場所""行動"の3要素で定義される自分自身の生活リズムを持ち,時間帯によって,オーナーから頼まれた仕事を実行したり,仕事がないときでも活発に家中を動き回ったり,人のそばへ行きたがったり,バッテリ残量が減ると充電ステーションで充電したりするなどして自律行動する.この自律行動の実現に必要なアイコンタクト技術(移動する物体や顔を検知する技術),自律移動技術について,概要を紹介する.