三菱重工技報
    Vol. 43 No. 1 (2006)   新製品·新技術特集
    技術論文

    PWR原子炉容器出口管台内面クラッディングの実機適用

    Field Application of the Cladding of PWR Reactor Vessel Outlet Nozzle

    中村康夫
    Yasuo Nakamura
    段林勝治
    Katsuzi Dambayashi
    阪本浩之
    Hiroyuki Sakamoto
    藤谷泰之
    Yasuyuki Fuziya
    塚本義正
    Yoshimasa Tsukamoto
    中村康夫
    段林勝治
    阪本浩之
    藤谷泰之
    塚本義正

    PWR 一次冷却系統に用いられている 600 合金溶接部は,経年的に高応力付加状態では一次系水による応力腐食割れ(PWSCC)が発生する懸念があることは既に知られており,600 合金溶接部の検査実施が義務付けられている.
    米国の発電所では,原子炉容器(図1)と一次冷却材管との 600 合金溶接部内面に発生した PWSCC による亀裂が進展·貫通し,一次冷却材の漏えいに至るという損傷事例があり,製作時の当該部の大がかりな補修溶接による残留応力が影響していると考えられている.
    PWSCC の発生は,"材料","応力","環境"の3つの要因からなることから,どれか1つの要因を取り除くことで予防保全対策を実施できる.
    内面クラッディング工法は,耐 PWSCC 性に優れた 690 合金を接液部となる管台とセーフエンドの異材継手部(600 合金溶接部)の内面にクラッディングし,"材料"による PWSCC 発生要因を排除する工法であり,実プラントでは溶接後熱処理が困難なことから,テンパービード溶接方法を確立して,実機適用を可能とした.