三菱重工技報
    Vol. 60 No. 2 (2023)   物流·冷熱·ドライブシステムドメイン特集
    技術論文

    CFDとAIの連成による小型ディーゼルエンジンの燃焼室形状最適化

    Combustion Chamber Shape Optimization for Small Diesel Engines by Coupling CFD and AI

    中野博紀
    Hiroki Nakano
    牧正也
    Masaya Maki
    網代健也
    Kenya Ajiro
    中野博紀
    牧正也
    網代健也

    三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社は,産業用小型ディーゼルエンジンで幅広く利用されている渦流室式エンジンの燃焼室形状に対して,CFDとAIを連成させた最適化設計プロセスを初めて適用し,当社製品の商品力向上に取り組んだ。渦流室式エンジンにおける燃焼·流動コンセプトを定義した後,CFDとAIを連成させることで,最適な燃焼室形状を自動的に探索させた。探索過程で得られたデータ群に対して,データ分析を行うことで,最適な燃焼室形状を選定するとともに,実機試験にて,目論見通りの性能向上が得られていることを確認した。また,最適化した燃焼室を,開発中の新L型エンジンに適用することで,従来機に対して,出力レンジを大きく拡大するとともに,クラストップレベルの正味平均有効圧力(BMEP)及び燃費率を実現できることを確認した。