三菱重工技報
    Vol. 59 No. 4 (2022)   カーボンニュートラル特集
    製品紹介

    カーボンニュートラルの達成に向けた電動車空調システム用大容量電動コンプレッサ

    Large Capacity Electric Compressor for Air-Conditioning System of Electric Vehicles toward Carbon Neutral Achievement

    三菱重工サーマルシステムズ株式会社
    車両空調機事業部 営業部

    カーボンニュートラルは,世界的潮流であり,その達成に向けた動きが加速している。自動車業界も例外ではなく,ハイブリッド車,電気自動車(以下,EV:Electric Vehicle),及び燃料電池車など,車両の電動化が2000年代から始まっている。現在では, EVの市場伸長が確実視されているが,一充電での航続距離確保が普及のキーであり,大容量バッテリ搭載は一つの解決策であるが,急速充電時のバッテリ発熱が大きな課題となっている。そのため,バッテリを適正な温度に制御する大容量の熱管理システムが必要不可欠になりつつある。加えて,高効率な車室内空調も求められている。三菱重工サーマルシステムズ株式会社は,上記の背景を踏まえて,2007年にハイブリッド電気自動車空調システム用として電動コンプレッサを市場投入している。そして近年の空調用冷凍サイクルを活用した急速充電時のバッテリ適正温度維持(冷却)や,寒冷条件時のヒートポンプ暖房能力拡大,等の新たなニーズに対応するべく,高効率な大容量電動コンプレッサを新たにシリーズ展開した。これらの製品技術は,EVの実用性向上による当該車両の普及促進をとおして,自動車業界のカーボンニュートラルに向けた取組みに貢献している。本報では,技術の中核をなす新型の大容量電動コンプレッサの特長とともに,ライフサイクルアセスメントの取組みについて紹介していく。