三菱重工技報
    Vol. 59 No. 4 (2022)   カーボンニュートラル特集
    技術論文

    鉄鋼業のカーボンニュートラルの達成へ向けたブレークスルー

    Breakthrough Pathways to Decarbonize the Steel Sector

    Gerald Wimmer
    Bernhard Voraberger
    Benjamin Kradel
    Alexander Fleischanderl
    Gerald Wimmer
    Bernhard Voraberger
    Benjamin Kradel
    Alexander Fleischanderl

    鉄鋼業は産業界における主要なCO2排出元であり,その排出量は世界全体のCO2排出量の約8%に相当する。製銑工程において化石燃料を使用する高炉(BF:Blast Furnace)が主要な排出源である。このような鉄鋼業のカーボンニュートラルを達成するための技術として,スクラップを使用する電気炉(EAF:Electric Arc Furnace)に加えて,水素を使用する直接還元法にも大きな可能性がある。プライメタルズテクノロジーズは三菱重工グループの一員として,直接還元法及び製鉄技術の包括的なポートフォリオをもって,鉄鋼生産のグリーントランジションを促進する。本報では,ホットメタル(溶銑),直接還元鉄(DRI:Direct Reduced Iron)/ホットブリケットアイアン(HBI :Hot Briquetted Iron),及びスクラップなど,異なる鉄源を使用するいくつかの製鋼プロセスをCO2排出量とともに示す。そして,電気炉とBOF転炉(Basic Oxygen Furnace)を組み合わせたハイブリッドプロセス,水素を使用する直接還元法と電気炉を組み合わせた高品位DRI向けの新しいプロセス,及び電気製銑炉とBOF転炉を組み合わせた低品位DRI向けの最新の"2ステッププロセス"を含めて,エネルギー需要側の取組みとしてグリーントランジションの複数のシナリオを紹介する。