三菱重工技報
    Vol. 56 No. 2 (2019)   M-FET特集
    技術論文

    吐出圧力変動を伴うターボチャージャ用遠心コンプレッサの複雑内部流れ場の解明

    Flow Measurement and Analysis Technology for Centrifugal Compressor under Pulsating Conditions

    冨田勲
    Isao Tomita
    林良洋
    Yoshihiro Hayashi
    リカルドF. マルチネス‐ボタス
    Ricardo F. Martinez-Botas
    マリアE. バレラ メドラーノ
    Maria E. Barrera Medrano
    冨田勲
    林良洋
    リカルドF. マルチネス‐ボタス
    マリアE. バレラ メドラーノ

    地球環境保全意識の高まりを受けて,乗用車エンジンの燃費規制·排ガス規制が強化されており、近年ではダウンサイジング·ミラーサイクル化·スーパーリーンバーンなどの低燃費化技術が広く普及しつつある。これに伴いターボチャージャ用遠心コンプレッサに対しては幅広い作動範囲で高い圧力比を達成するワイドレンジ化が強く要求されており、特に小流量側の作動範囲を制約するサージング限界の拡大は必要不可欠となっている。一方で,コンプレッサはエンジンの吸気に起因した圧力脈動下で運転されることから,サージング近傍の内部流動は複雑な非定常性を示し,作動範囲拡大のための現象把握は非常に困難であった。そこで当社では,エンジン実機を再現した脈動試験装置による流動計測を実施するとともに,試験結果を境界条件とした非定常数値解析を援用することで,これまで明らかとなっていなかった脈動流れにおける詳細な流動構造の分析を行った。その結果,脈動流れにおいては配管のヘルムホルツ共振周波数が作動範囲に強く影響するとともに,羽根車先端部における全失速の発生·消失に伴うフローパターンの変化が支配的であることが明らかとなった。