三菱重工技報
    Vol. 43 No. 3 (2006)   紙印刷機械·自動車関連技術小特集
    技術論文

    既存鉄筋コンクリート造住居建屋の制震ダンパを用いた耐震改修

    Retrofit Design of the Reinforced Concrete Buildings by Installing Hysteretic Dampers

    尾木靖夫
    Yasuo Ogi
    森下邦宏
    Kunihiro Morishita
    黒岩大也
    Daiya Kuroiwa
    小林利之
    Toshiyuki Kobayashi
    尾木靖夫
    森下邦宏
    黒岩大也
    小林利之

    東海,東南海,南海地震などの大地震の発生確率が高まり,構造物の耐震性に対する対策が重要視される中,日本国内には耐震補強を要する既存建築物が数多く存在している.また,耐震改修に関する法律である耐震改修促進法が平成18年1月に改正され,公共建物のみならず,民間建物でも耐震改修を進めるよう義務付けられてきており,より廉価で安全性を確保しうる耐震改修工事が望まれるようになった.当社では構造物の制震装置として,鋼材の履歴特性を用いた制震ダンパを開発し,既に新設建築物などに適用している.本報では,この制震ダンパを用い,構造物の動的な特性も考慮した上で安全性を確保しうる制震改修工法を既存鉄筋コンクリート造建物に対して適用した事例を紹介する.検討結果より,従来工法である強度型耐震補強工法を用いた場合より補強構面数を低減し建物高さ方向のバランスのとれた応答性状が得られた.これにより,さらに安全性,信頼性の高い改修工事が提案できた.