三菱重工技報
    Vol. 61 No. 2 (2024)   プラント·インフラドメイン特集
    製品紹介

    eHRC:Arvedi ESPのエンドレス熱間圧延コイル
    - 圧延材のニュースタンダード -

    eHRC: Endless Hot Rolled Coil from Arvedi ESP
    - A New Standard in Rolled Materials -

    Primetals Technologies Austria GmbH
    Casting and Endless Strip Production
    Scholler J
    Piemonte C

    圧延技術の発展においては,広幅鋼帯製品は伝統的に熱間圧延コイル(HRC:hot-rolled coils)と冷間圧延コイル(CRC:cold-rolled coils)の2種に大別されてきた。HRCをエンドレス鋳造圧延により生産することを特徴とするArvedi Endless Strip Production(ESP)技術の発明により,新しい種類の圧延コイル,エンドレス熱間圧延コイル(eHRC:endless hot-rolled coils)が誕生した。熱間圧延材料としてのeHRCは,従来は冷間圧延でのみ提供されていた製品用途を劇的に拡張する。また,この新しいHRCは,変換コストを大幅に削減できる。CAPEX(ESPプラントにおける前例のないレイアウトのコンパクトさによる)とOPEX(市場にあるすべての薄スラブ鋳造及び圧延技術の中で最も少ない総エネルギー消費量と最高の材料歩留りによる)の両方を大幅に削減する。化石燃料を使用することなく,溶鋼自体が保有している熱エネルギーを利用して鋳造スラブを直接圧延するため,Arvedi ESPプロセスは直接及び間接的に排出される温室効果ガスを削減する新しいスタンダードとなる。鋳造と圧延の間で長時間高温に保たれることがないため,Arvedi ESPプロセスは熱間脆性の影響を受けにくい。従って,溶鋼中のトランプエレメント(不純物)の許容値が緩和される。この特徴により,Arvedi ESPプロセスは大量のスクラップを使用する電気アーク炉ベースの製鋼工場に最適である。また,最終製品の品質を損なうことなくスクラップベースの生産と組み合わせることができるため,循環経済の促進にもつながるものである。Arvedi ESPを通じて,コンパクトなレイアウト,クラス最高のエネルギー効率,CO2排出量の削減と優れたコイル品質が両立し,収益性と環境性に配慮した製鋼プロセスが実現できる。