三菱重工技報
    Vol. 43 No. 4 (2006)   原子力特集
    設備紹介

    原子力向け膜分離活性汚泥式洗浄排水処理設備

    Laundry Drain Treatment System Using Membrane Bio Reactor for Nuclear Power Plant

    原子力事業本部 原子力部 新型炉
    新製品課

    膜分離活性汚泥式洗浄排水処理設備は,自然界における自浄作用を利用することにより,省ランニングコストを実現した設備である.また,設備構成的にもタンクとポンプを主体とする非常に簡素な構成をしており,加圧·昇温する設備もないため設備点検·部品交換頻度が少なく,この観点からもランニングコスト低減につながると同時に安全かつ運転の容易な設備となっている.さらに,主な二次廃棄物発生源としては有機物を分解することによる活性汚泥の増殖分のみであり,従来の設備と比較して 1/8 ~ 1/20 と二次廃棄物発生量の少ない設備であり,原子力発電所への適用を予定している.
    本設備は,一般産業の下水処理等には広く適用されているなど十分に実績のある設備であり,また当社においては原子力発電所における実廃液を用いた試験を行い,水質浄化性能及び放射性物質除去性能等,本設備の原子力発電所での洗浄排水処理方式としての成立性については十分確認済みである.
    更に,標準的な活性汚泥法では,汚泥と処理水の分離を自然沈降で行っているが,平膜を用いて膜による分離を行うことで,省スペース化を図っている点も本設備の特徴の一つである.
    以上のように,"膜分離活性汚泥式洗浄排水処理設備"は既存する洗浄排水処理設備の問題点を改善した新設備である.