三菱重工技報
    Vol. 40 No. 1 (2003)   三菱重工の昨日·今日·あした
    特集 技術論文

    地域と共に-橋梁の昨日·今日·あした

    With society, the Past, the Present and the Future of Our Bridge Technology and Development

    岸 昭男
    Akio Kishi
    三浦章三郎
    Shozaburo Miura
    磯田厚志
    Atsushi Isoda
    河合良彦
    Yoshihiko Kawai
    増田伊知郎
    Ichiro Masuda
    岸 昭男
    三浦章三郎
    磯田厚志
    河合良彦
    増田伊知郎

    戦後復興から高度成長期にかけて,首都圏を始めとする都市部から全国各地に向かって高速道路網の整備が進められてきた. この間の鋼橋の技術発展に関しては,例えば高強度鋼材の利用とその製造技術,ケ-ブル構造採用に対応する架設技術や精度管理システム,厳しい自然条件を克服するための耐風·耐震対策などに見られるように,多くの技術が飛躍的に進歩するとともに,これらが本四架橋を始めとする長大橋梁の発展を支えることとなった. 一方,1995年の兵庫県南部地震における高架橋の損壊は,安全な物流システムやライフラインの重要さを再認識させ,現在まで整備してきた橋梁の維持管理や延命化を今後の道路整備における重要な課題としてクローズアップさせた. また,公共投資が抑制される中で,都市機能の回復という観点から渋滞緩和や沿道環境の改善などの要求が高まり,橋梁技術の進むべき方向は,今まさに変化しようとしている.
    当社の鋼橋の歴史は,日本における橋梁建設の歴史とともに歩み,その原点は遠く明治初期の"くろがね橋"(長崎市)にまでさかのぼる. 以下,当社の鋼橋の歴史を紹介するとともに,これからの社会ニーズを踏まえ,当社が取り組んでいる鋼橋に関する技術開発の現状と展望について紹介する.