三菱重工技報
    Vol. 40 No. 1 (2003)   三菱重工の昨日·今日·あした
    特集 技術論文

    エネルギーの長期安定供給を目指して

    -原子力発電の昨日·今日·あした-

    For the Long-Term Stable Supply of the Electrical Energy
    -Yesterday, Today and Tomorrow of Nuclear Electric Power Generation-

    三宅芳男
    Yoshio Miyake
    向井 卓
    Hiroshi Mukai
    三宅芳男
    向井 卓

    日本で商業ベースの原子力発電が開始されて30数年が経過した. この間,海外より軽水炉技術を導入することから始まり,設計,製造,建設,運転·保守の各分野において運転経験に基づく技術の改良,及びこれらの定着化が関係者の努力によりなされてきた. その結果,今や52基の軽水炉プラントが国内電力の約1/3を供給し,基幹電源としての役割を果たすまでに至っている.
    この基幹電源としての役割を担い続けるためには,安全性を維持しつつコンバインドサイクル火力発電等他電源に対する競争力を確保することが重要である. そのための具体的な取組みの一つとして,これまでの経験を集大成した次期新設プラントの設計を推進するとともに,高経年化プラントの安定運転の維持を図りつつ,設備の有効活用を実現するための各種方策の立案,及び必要な技術開発を実施している.
    また,中長期的には,多様化する将来の原子力発電プラントへのニーズにこたえるために,分散型電源やエネルギーの多目的利用の実現なども含めた将来炉の開発にも取り組んでいる. 軽水炉技術の導入から定着化への経緯も含めて,現在の取組みについて紹介する.