三菱重工技報
    Vol. 40 No. 1 (2003)   三菱重工の昨日·今日·あした
    特集 技術論文

    クリーンエネルギー輸送

    -LNG船の昨日·今日·あした-

    Transportation of Clean Energy at Sea ~Mitsubishi LNG Carrier, at Present and in the Future

    難波直愛
    Naochika Namba
    珠久正憲
    Masanori Shuku
    湯浅和昭
    Kazuaki Yuasa
    石丸純史郎
    Junshiro Ishimaru
    難波直愛
    珠久正憲
    湯浅和昭
    石丸純史郎

    .当社の船舶·海洋部門では,各種船舶の建造で一世紀以上にわたって培ってきた豊富な造船技術をいかして,豪華客船,液化ガス船,フェリー,コンテナ船,タンカー,石油·ガス洋上設備,地球深部探査船等各種の船舶を開発·設計·建造している. その一例を冒頭に示す.
    液化ガス船の分野では,1962年世界初の低温式LPG船を建造,以来,2002年末までに大型LPG船40隻,大型LNG船22隻を建造,LPG船,LNG船はいずれも世界第一位の建造実績を誇っている.
    LNG船では,1983年に当社初の125 000 m3型LNG船をしゅん工した後,20世紀最後のプロジェクトといわれたオーストラリア·ノース·ウエスト·プロジェクトで,いわゆる,第2世代のLNG船を開発·建造した. この第2世代船の特徴は,低ボイルオフレート(BOR)と強制蒸発装置の組合わせによって,燃料選択の自由度を増した点であり,LNG船の経済性は大幅に向上できた. 現在でも,この設計思想がLNG船の標準となっている.
    近年では,世界初のLNG船用再液化装置の実用化,環境に優しいLNG船の建造,145 000 m3型の最大級LNG船の開発と,常に時代をリードした新製品を投入している.
    LNG船は,安全性·信頼性とともに,経済性が益々重要になっている. 当社では,豊富な経験と各種技術開発を通じて,お客様のニーズにあった最適なLNG船を提供すべく日夜取り組んでいる.
    それでは以下に,クリーンエネルギー輸送に従事する当社のLNG船について紹介する.