三菱重工技報
    Vol. 40 No. 1 (2003)   三菱重工の昨日·今日·あした
    特集 技術論文

    発電システムの発展にともなうエネルギー利用の高度化

    Energy Solution through Development of Power Generating Systems

    冨永 明
    Akira Tominaga
    若園 修
    Osamu Wakazono
    中島道雄
    Michio Nakajima
    藤川卓爾
    Takuji Fujikawa
    佐藤 進
    Susumu Sato
    杉谷敏夫
    Toshio Sugitani
    冨永 明
    若園 修
    中島道雄
    藤川卓爾
    佐藤 進
    杉谷敏夫

    電気エネルギーは,動力·熱·光·電波等に簡単に変換できることから,多様な用途かつ広範囲に利用されており,その確実な供給は現代社会において絶対不可欠な前提条件となっている.
    当社は 1960 年代以降の急激な国内電力需要の伸びと,1970 年代の二度にわたる原油価格の高騰にこたえるべく,発電設備の大容量化と,高効率化に取り組んできた. また,1973年の第一次石油危機を契機に燃料の多様化が求められ,石油に代わる石炭だき,LNGだき発電プラントの開発に取り組んできた.
    単機容量が大型化することによりトラブル発生時の緊急停止等,電力系統へ与える影響が大きくなり,ボイラ,タービンを始めとするプラント構成機器の信頼性向上が強く要請されるようになった.
    高効率化の要請はガスタービンコンバインドプラントの建設につながり,1984年に大容量プラントが建設された後もガスタービンの高温化により目覚ましい効率向上が図られてきた.
    また,埋蔵量が多い石炭を高効率で有効に利用するための石炭ガス化複合発電プラント(IGCC)の開発も推進している.
    更なるエネルギーの高効率利用を実現すべく,電気と熱の両方を供給できる分散電源の普及が図られているが,当社はこの分野においても高効率ディーゼル,ガスエンジン等のコア機器を納入してきた. また,その将来性が最も有望視されている燃料電池についても実用化を進めている.
    一方,地球温暖化に歯止めをかけるべくRPS法によって,電気事業者は風力発電,太陽光発電,廃棄物発電等の再生可能エネルギーの利用割合を高めることを義務付けられつつあるが,これ等の領域においても当社は顧客のニーズに合った製品を納入してきた. ここでは,当社のこれまでの活動の成果とあしたに向けた取組みについて紹介する.