三菱重工技報
    Vol. 49 No. 1 (2012)   新製品·新技術特集
    技術論文

    舶用ディ-ゼル主機関の超省エネ排熱回収装置の実用化

    Application of Super Waste Heat Recovery System for Marine Diesel Engine

    市来芳弘
    Yoshihiro Ichiki
    白石啓一
    Keiichi Shiraishi
    金星隆之
    Takayuki Kanaboshi
    小野嘉久
    Yoshihisa Ono
    市来芳弘
    白石啓一
    金星隆之
    小野嘉久

    船舶の環境規制強化や燃費向上の市場ニーズ増大へのソリューションとして舶用ディーゼル主機関の超省エネ排熱回収装置を開発した.従来型の排熱回収システムであるディーゼル主機関排ガスを利用した排ガスエコノマイザ+蒸気タービン発電システムでは,過給機の駆動にエンジンからの排ガス全てを使っていた.今回開発したのは,一部の排ガスを抽気して駆動するパワータービン(ガスタービン)を備え,自動嵌脱クラッチで連結された蒸気タービンとともに発電機を駆動する我が国初の複合型舶用エネルギー回収システムである.従来型回収システムと比較して発電量が約2~3倍へ大きく増加し,船舶機関プラント効率を大きく向上(相対値8~10%)させることができ,船舶のCO2削減に寄与できる.このシステムは,欧州某船主向けコンテナ船38隻(大宇造船工業(株)建造7450個積船:16隻及び現代重工業(株)建造4500個積船:22隻)に搭載される.2011年3月,1隻目の海上試運転が行われたあと,船主に引き渡され,現在16隻が就航している.