三菱重工技報
    Vol. 46 No. 1 (2009)   新製品·新技術/サービス特集
    技術論文

    世界初の空気吹きIGCC連続運転の成功と商用機計画

    World's First Successful 3 Month Continuous Operation of the Air Blown IGCC System and Plans for Commercial Applications

    橋本貴雄
    Takao Hashimoto
    品田治
    Osamu Shinada
    北川雄一郎
    Yuuichirou Kitagawa
    石井弘実
    Hiromi Ishii
    高嶋康裕
    Yasuhiro Takashima
    洲崎誠
    Makoto Susaki
    橋本貴雄
    品田治
    北川雄一郎
    石井弘実
    高嶋康裕
    洲崎誠

    石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)システムは,石炭をガス化しガスタービンコンバインドサイクル発電と組み合わせることで,従来型石炭焚き火力に比べて発電効率が 20%(相対値)と飛躍的に向上する次世代の火力発電システムである.当社は,より高効率·高信頼性の空気吹き IGCC 技術の実現に向けて,国·電力会社·(財)電力中央研究所(以下電中研)とともに,石炭処理量が 2t/日級実験炉から 200t/日級パイロットプラントを経て,商用化の最終段階として発電出力 250MW 級(1700t/日級)IGCC 実証機(以下 IGCC 実証機)を建設し,2007 年9月から実証試験を開始した.試験は予定どおり進捗し,2008 年3月に定格負荷に到達し,2008 年6月から9月にかけて,目標としていた 2000 時間超の連続運転を予定どおり達成した.発電プラントは年間を通して稼動するため,特に電力需要の高い夏場3ヶ月間は,停止せずに発電する信頼性が必要であり,2000 時間連続運転という目標が設定されたものである.試運転開始から 1 年以内の短期間で長期連続運転を達成した IGCC プラントは世界的に例はなく,効率,環境性能とともに,信頼性の点でも商用化できることを実証した.
    空気吹き IGCC は,従来型石炭火力に比べ CO2を 20%低減でき,また CO2の回収·隔離設備との組合せも比較的容易であり,環境に優しい発電技術として世界中から注目されている.