三菱重工技報
    Vol. 41 No. 3 (2004)   風水力機械特集
    製品紹介

    水車現地セラミック溶射工法

    Thermal Spray Robot on Site for Worn Hydraulic Turbine Parts

    原動機事業本部 電力部 電力二課

    水力発電所の河川では,常時または洪水時に多量の土砂が流れ込み流水部を摩耗させる.従来この土砂摩耗には効果的な対策がなく,土砂摩耗した部品の交換周期に合わせて水車発電機の分解点検を実施してきた.近年,顧客の保全費用削減を目的に水車摩耗部品の長寿命化による分解点検周期延伸のニーズが高くなっている.
    この土砂摩耗対策として,密着力が高く耐摩耗性に優れたセラミック(タングステンカーバイト系サーメット)溶射を行っている.しかし,現地のコンクリート埋設部に取り付けられる下カバーライナ等については,取付けボルト頭部の溶射未施工部分が摩耗し,長寿命化のネックとなっていた.
    今回この問題を解決すべく,ライナを現地取付け後ボルト頭部も含めて高精度で溶射できる現地自動溶射工法を開発し,水車土砂摩耗部品の長寿命化を図ることができたので概要を紹介する.