三菱重工技報
    Vol. 61 No. 4 (2024)   原子力特集
    技術論文

    デジタル技術を活用した原子力発電プラント運用保守の高度化支援
    - 更なる安全性·信頼性,パフォーマンスの向上を目指して -

    Digital Technologies for Operation & Maintenance Efficiency of Nuclear Power Plants
    - Leading to Further Safety, Reliability, and Performance -

    福井俊樹
    Toshiki Fukui
    番家拓郎
    Takuro Banka
    野田英介
    Eisuke Noda
    白土剛
    Takeshi Shiratsuchi
    木内信二
    Shinji Kiuchi
    富田雅文
    Masafumi Tomita
    福井俊樹
    番家拓郎
    野田英介
    白土剛
    木内信二
    富田雅文

    国内原子力発電プラントは過酷事故防止や緩和対策の実施により,世界最高水準の安全性を実現し再稼働を達成することができた。その結果,安全対策設備の追加により,管理対象設備が増加し,またそれらを運用保守する人的負担が増加している。稼働基数の減少による経験機会の減少及びベテランの引退を受けた技術の伝承も課題である。原子力発電プラントではこれまで運転操作の自動化範囲拡大を進めてきたが,間接的な運用保守業務は多くの人を介するものが主体であり,ここに昨今急速に発展しているデジタル技術を活用することで,設備の統合的な管理,業務負担低減,技術伝承等の課題解決に大きな効果が期待される。三菱重工業株式会社ではその課題解決の実現のために,"3つの観点のデジタルツイン"コンセプトを提案,そのコンセプトに基づくソリューションを開発している。一部については電力会社のご意見を取り入れながら導入·試運用を進めており,今後も,新たなソリューション開発や複数ソリューションの相互連携を通じて,更なる発展を目指している。