三菱重工技報
    Vol. 60 No. 3 (2023)   エナジードメイン特集
    技術論文

    カーボンニュートラル達成に向けた燃料アンモニアの安全な運用を実現するアンモニア除害設備の開発設計

    Development Design for Ammonia Removal Device for Safe Operation Applying for Ammonia Fuel to forward Carbon Neutrality

    佐々木良三
    Ryozo Sasaki
    文亮太
    Ryota Bun
    佐々木良三
    文亮太

    火力発電分野におけるアンモニア混焼実証の開始や,船舶分野におけるアンモニア燃料エンジンの開発に代表される動向により,燃料アンモニアの利用拡大が進むことが予想される。需要拡大に向けた課題の一面として挙げられるのが,毒性のあるアンモニアを運用するための安全性,化石燃料の代替となり得るための経済性,新たにGHGや環境破壊に繋がる副生物の発生を伴わない環境保全性であると考えられる。三菱重工業株式会社が提案するアンモニア除害設備は自社の触媒技術を用いており,それらの課題を解決する一助となるが,その運用条件や要求仕様は明確化されていないのが実態である。本報では,課題を解決する設備の概要,仕様と特徴を説明する。アンモニア分解後の排ガス中の副生NOx低減が求められる案件においても装置サイズを抑制でき,モジュール化させた可搬式設備の開発設計を実施した。本報の紹介により,燃料アンモニア利用を検討中のお客様に対する提案となり,具体的なアンモニアガスや排水を無害化する運用条件や設備仕様の決定に繋がることを期待している。