三菱重工技報
    Vol. 60 No. 2 (2023)   物流·冷熱·ドライブシステムドメイン特集
    技術論文

    冷媒回路とクーラント回路を組み合わせた電気自動車用暖房システムの開発

    Development of Heating System for Electric Vehicles Combining Refrigerant and Coolant Circuits

    小林崇幸
    Takayuki Kobayashi
    足立知康
    Tomoyasu Adachi
    山本裕之
    Hiroyuki Yamamoto
    塩崎亮
    Ryo Shiozaki
    加藤雅大
    Masahiro Kato
    浅田祐貴
    Yuki Asada
    小林崇幸
    足立知康
    山本裕之
    塩崎亮
    加藤雅大
    浅田祐貴

    世界的な地球温暖化抑制対策のためCO2排出規制,燃費改善が各国で掲げられるなか,従来の内燃機関車から電気自動車への転換が世界的に進められている。車両用空調機は,内燃機関車においては暖房熱源としてエンジンの排熱を用いてきたが,電気自動車ではエンジンがないため熱源が不足する。通常,冷凍サイクルを用いたヒートポンプ運転により外気から吸熱し熱源としているが,低外気温度時には従来冷媒の物性上,暖房性能が不足する。そのため,一般的には電気ヒータによる暖房性能の確保が行われており,電気ヒータ関連の部品費が車両全体のコストを高めている課題がある。そこで,三菱重工サーマルシステムズ株式会社は電気ヒータを用いることなく,冷媒とクーラント回路を組み合わせることで,低外気温度条件における車室内快適性向上に寄与できる電気自動車用空調システムを構築したので,本報にて紹介する。