三菱重工技報
    Vol. 60 No. 2 (2023)   物流·冷熱·ドライブシステムドメイン特集
    製品紹介

    脱炭素化対応技術·燃料電池の性能を向上させる高効率電動コンプレッサ

    High-efficiency Electric Compressor That Improves Decarbonization Technology and Fuel Cell Performance

    三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
    ターボ事業部 営業部

    脱炭素社会の実現に向けて世界的な動きが加速する中,モビリティ業界においては,車両用パワートレインの電動化ニーズが高まっている。今後,電気自動車の市場が確実に伸びる予想ではあるが,バッテリの高性能化,急速充電技術等が課題となっている。それに対して,近年,一つの対策として,クリーンな水素燃料から直接電気エネルギーを取り出すことで高い発電効率が得られる燃料電池システムが注目されている。燃料電池システムは車両用,定置用及び,その他の産業用にも応用でき,水素インフラ整備等を踏まえて2030年以降に本格的な普及が予想される。各国の長期政策にも組み込まれており,継続的な市場拡大が期待される。三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社は,内燃機関車両からゼロエミッション車への移行という事業環境の変化に対応すべく,燃料電池システム用の高効率電動コンプレッサを開発し,お客様へのサンプル供給を開始している。水素インフラの普及には時間がかかり,先ずは拠点間輸送などの限定的な用途に向けた水素インフラの整備が期待できる。本報では,商用車向けの高効率電動コンプレッサの製品仕様及び,製品の特長について紹介していく。