三菱重工技報
    Vol. 59 No. 4 (2022)   カーボンニュートラル特集
    技術展望

    航空輸送の脱炭素化へ向けた,将来機軽量化を実現する先進複合材技術への取組み

    Approach to Advanced Composite Material Technology to Reduce the Weight of Future Aircraft for the Decarbonization of Air Transportation

    菅原善太
    Zenta Sugawara
    戸上健治
    Kenji Togami
    岡部良次
    Ryoji Okabe
    菅原善太
    戸上健治
    岡部良次

    "飛び恥"という言葉に象徴される航空機の環境適合性向上への強い社会的要請がある中,有力な対策とされているSAF(Sustainable Aviation Fuel)や水素を燃料とする将来機では,燃料費の高さや航続距離制約の課題があり,カーボンニュートラル達成に向けたエネルギー需要側の脱炭素化を促進する手段として,燃費改善·航続距離延長につながる機体軽量化の重要度がさらに高まっている。一方,ポストコロナにおいては狭胴機への需要が増加しているが,狭胴機への複合材適用は軽量化·生産高レート化に課題があり,広胴機ほど進んでいない。この状況に対応する取組みとして,三菱重工業株式会社は,2021年度から国立研究開発法人新エネルギー·産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業の助成を受け,将来機/狭胴機の軽量化を実現する先進複合材技術の研究開発を進めている。