三菱重工技報
    Vol. 48 No. 4 (2011)   航空宇宙特集
    技術論文

    LE-Xエンジン開発へ向けた取り組み

    Development of LE-X Engine

    渥美正博
    吉川公人
    小河原彰
    恩河忠興

    H-IIAロケット2段エンジンのLE-5Bに採用されているエキスパンダーブリードサイクルは,日本が初めて実用化したエンジン方式で,そのシンプルなエンジンシステムから,外乱に強いロバストな作動特性をもっている.また,宇宙空間での再着火機能,スロットリング機能,アイドルモード燃焼(低推力作動)等の優れた機能を備えており,信頼性と高機能を併せ持つエンジンサイクルとして,世界からも高い評価を得ている.その歴史は日本初の純国産液酸/液水エンジンであるLE-5の改良型エンジンLE-5Aに始まり,LE-5Bへと受け継がれ,最近では,当社と米国Pratt & Whitney Rocketdyne(PWR)社が共同開発を進めるMB-XXエンジンにも採用されている.これらはいずれも2段エンジンである. さらに当社ではJAXA主導の下,このサイクルを次期基幹ロケットの1段エンジンに採用し,世界に誇れる信頼性の高い1段エンジンLE-Xの開発を進めている. 本論ではエキスパンダーブリードエンジンのサイクルの特徴とロケットエンジンの高信頼化への取り組みについて報告する.