三菱重工技報
    Vol. 44 No. 3 (2007)   船舶·海洋特集
    技術論文

    世界初の船体用降伏応力47 kgf/mm2 級高張力鋼の開発と実船適用

    World's First Application of 47 kgf/mm2 Higher Tensile Strength Steel for Large-Scale Container Ships and Realization of Safety Design to Respond to Trend for Supersizing

    廣田一博
    Kazuhiro Hirota
    中川 隆
    Takashi Nakagawa
    武田信玄
    Shingen Takeda
    橋 吉美
    Yoshimi Hashi
    多田益男
    Masuo Tada
    廣田一博
    中川 隆
    武田信玄
    橋 吉美
    多田益男

    コンテナ船は著しく大型化が進んでおり,その船体に使用される鋼材の厚手化が進んでいる.一般に鋼材は板厚が厚くなると,靭性(ねばり)が低下するため,脆性破壊に対する配慮がより必要となる.このため,当社では,一般商船の船体用鋼材として従来材と比較して2割程度強度を高めた降伏強度47 kgf/mm2 級鋼板を新日本製鐵(株)と共同で開発した.本開発鋼は高強度と高靭性を兼ね備えており,その特性をいかした板厚低減と適切な鋼材配置設計により,超大型コンテナ船の脆性破壊に対する船体構造信頼性を大幅に向上している.併せて,重量低減効果による推進性能·貨物積載効率の向上にも寄与している.本鋼は,当社にて建造の8100TEU コンテナ船において世界に先駆けて実船適用済であり,お客様から安全·性能の両面で高い評価を頂いている.