三菱重工技報
    Vol. 42 No. 1 (2005)   新製品·新技術特集
    特集 技術論文

    高密度塩素プラズマで低温,低損傷プロセスを可能にした金属成膜装置

    Low-temperature and Low-damage Metal CVD with High-density Cl2 Plasma

    坂本仁志
    Hitoshi Sakamoto
    小椋 謙
    Yuzuru Ogura
    大庭義行
    Yoshiyuki Ooba
    八幡直樹
    Naoki Yahata
    坂本仁志
    小椋 謙
    大庭義行
    八幡直樹

    塩化金属還元気相成長(MCR-CVD:Metal Chloride Reduction Chemical Vapor Deposition)法は,当社が独自に見出した反応に基づく新しい成膜法である .
    この成膜法では,塩素ガスのみによる高密度プラズマを用いているため,原料コストの削減やプロセスの低温化が可能となる.また,電荷を伴わない塩素ラジカル反応を主として利用しているために,基板表面への損傷を最低限に抑えられる.さらに,エッチング反応と成膜反応が共存した系であるため,微細パターンに対して,その底部から埋め込まれる,いわゆる"ボトムアップ"成長 から均一被覆成長まで制御可能である.これらの特徴は,これからの大規模集積回路(ULSI:Ultra Large Scale Integrated circuit)や平板型ディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)といった電子デバイスの製造プロセスに必要不可欠になると考えられる.本論では,チタン,イリジウム,及び窒化タンタルを例として,その適用可能性について議論する.