三菱重工技報
    Vol. 40 No. 5 (2003)   エレクトロニクス製品特集
    製品紹介

    高密度プラズマCVD装置"MAPLE"

    High Density Plasma CVD System "MAPLE"

    本社営業窓口 原子力事業本部 原子力部 新型炉
    新製品課

    高密度プラズマCVD装置"MAPLE"は,当社が核融合技術で培ったプラズマ技術·真空技術を応用した装置で,主にシリコンウェハの上に形成された配線間に絶縁膜を形成する.これまでに納入した装置は,半導体デバイスメーカで順調に稼動している.
    半導体の更なる微細化,高集積化によってプラズマCVD装置への要求はますます多様化している.特に次世代不揮発性メモリとしてFeRAM(強誘電体メモリ),MRAM(磁気抵抗メモリ)等の開発が盛んに行われているが,これら次世代メモリでは使用実績の無い材料を新たに採用するため,これに伴い派生する問題が量産化,微細化への大きなハードルとなっている.FeRAMでは分極特性を信号の記憶に利用するため,PZTに代表される強誘電体材料が使用される.これらは還元劣化が生じやすく,SiOx等の絶縁膜形成で使用される水素を含む SiH4 反応プロセスで分極特性が劣化する.同様にMRAMでは,磁性材料を記憶素子に採用しているため,低温での処理が求められている.MAPLEは膜中水素量を一桁以上抑制できる技術と従来の400°Cに対して250°C程度の低温でウェハ温度制御が可能な技術を備え,これら次世代デバイスの要求に対して最適な絶縁膜プロセスを提供することができ,新しい世代の高密度プラズマCVD装置として各方面への展開が期待される.