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プロジェクトストーリー

自動車の性能を高め、環境にもやさしいターボは三菱重工が世界で生産し、世界に送り出す戦略的製品。

 ターボチャージャの市場は年率10パーセント以上の成長を続けている。
 第一の波はヨーロッパから始まった。主流となるディーゼルエンジン車では環境対応のためにターボが必須となり、一気に需要が拡大する。
 続いて世界一の自動車大国となった中国でもCO2抑制と排ガスのクリーン化に大きな効果のあるターボに注目が集まりつつある。
 さらに今後はアメリカ、アジア、日本でもガソリン車を含めた「ターボ化」が進む可能性を秘めた、期待される市場だ。
 主要ターボメーカーのひとつである三菱重工では、このチャンスを最大限に活かそうと、営業・設計・生産が一体となって事業拡大に挑んでいる。
 世界中の自動車メーカーを相手に展開するグローバルビジネスの醍醐味を感じてほしい。

営業とはモノを売るだけでなくプロジェクトを成功に導く仕事

 2006年11月、竹中悟史はオランダのアムステルダム近郊にあるMHI Equipment Europe B.V.(MEE)のオフィスでちょっとした浮遊感覚のようなものを味わっていた。
三菱重工汎用機・特車事業本部のヨーロッパにおける中核拠点として生産から開発まで行うMEEは、入社以来担当しており、なじみのあった場所だ。しかしその地に赴任し、生活を営みながら仕事をするとなると、少々、勝手が違う。しかも彼はまだ、入社してからたった3年半しか経っていない若者だった。
「ターボチャージャ事業の顧客は世界中の自動車メーカーです。これらの会社が新車を発売する時期に合わせて私たちも開発を進め、製品を納めていくのが基本的な仕事の流れなのですが、単純にいかないのは、自動車産業は非常にグローバル化が進んでいるからです。たとえばアメリカのメーカーであっても開発や生産の拠点はアジアにもヨーロッパにもある。このため三菱重工では、相模原にある汎用機・特車事業本部を中心とする国内の工場に加えてオランダ、タイ、米国、中国、韓国に拠点をもち、ターボビジネスのグローバルネットワークを構築しているのです」
 そんな環境で働くメンバーは早くから海外の業務を受け持つ。竹中自身も入社以来、欧・米・中とさまざまなエリアへの営業を担当してきた。しかし今回、ヨーロッパに駐在して行わなければならない仕事は、これまで以上に責任の重いものだ。
「三菱重工において『営業』という仕事は大きく2つの意味をもちます。ひとつはいうまでもなく受注活動ですが、もうひとつは、その成果として動き出したプロジェクトをまとめ、完遂させる役割です。社内の技術部門と顧客、さらに部品の調達先などすべての関係者とのあいだを調整しながら、事業の遂行に責任をもつのですが、当然、そこには多くの経験と知識が求められます。オランダで私が担当することになったのは、そんな仕事だったのです。しかもそれは急を要する、重大なミッションでした」
 そんな大きな役割を自分がまかされたことに最初は実感が伴わず、それが一種の浮遊感につながっていたのである。

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市場の需要拡大に合わせた生産管理のノウハウが必要

 ターボチャージャはエンジン(内燃機関)の熱効率を高める過給機だ。エンジンの排気ガスは、まだ多くの熱や運動エネルギーを残している。したがってそのエネルギーを無駄なく利用してタービンを高速回転させ、圧縮した空気をエンジン内に送り込むことで、同じ排気量でもパワーは増大する。その結果、燃費向上による二酸化炭素の排出抑制や排気ガスの有害成分を減少させるといった効果も期待できるのだ。
 ただし、それらの機能を確実に発揮させるにはエンジンと一体となった開発が必要であり、自動車メーカーからの信頼感が欠かせない。また後述するようにターボ自体が究極のメカニズムであるため、生産できる企業も限られていた。現在、自動車向けターボの市場において三菱重工を含む上位4社が約94パーセントを占めているという事実からも、開発や生産の難しさがわかるはずだ。竹中が言う。
「ターボによる効果は大きいものの、技術的にも難しいことから、1990年代まではノンターボの自然吸気(NA)車を商品化するメーカーが多かったのです。しかし乗用車でもディーゼルエンジンが主流となったヨーロッパでは、環境規制をクリアするにはターボが絶対に必要となり、そのことで市場が一気に拡大しました。最近では通常のガソリン車もターボ化して環境性能を高めようという動きがあり、世界規模で新しい需要が生まれていこうとしています」
 その結果、現在、ターボチャージャの市場は年率十数パーセントという勢いで拡大している。しかしこの成長が、三菱重工のヨーロッパ拠点であるMEEにひとつの問題をもたらした。
「ターボの需要が高まり、年間数十万レベルで増産が必要になっていたことから、生産管理が充分にできなくなっていたのです。このため、帳簿上ではあるはずの部品がすでに使われてなくなっていたといったような初歩的なミスが起こったり、拠点間のコミュニケーションに混乱が生じたりしていました。そこでプロジェクト管理の経験のある営業担当として、私が駐在員に抜擢されたのです」
 いきなり日本から来た若者が生産管理の指揮を執り始めたことで現地スタッフも最初は戸惑いがあったという。「そうでしょう。僕自身が『なんでこの年齢でこんな重大な仕事をしてるんだ?』って不思議に思うほどでしたからね」と竹中は笑うが、実は秘策があった。
「営業で学んだのは仕事相手との人間関係を築くことの大切さです。日本人だろうとオランダ人だろうと仲良くなってしまえば理解してくれる。このためとにかく現場に出て現地人と同じ目線で会話をし、休日には同僚の家に遊びに行くなどして、私という人間をわかってもらうようにしました」
 努力の結果、MEEは生産力の増強を成功させていく。そんな竹中をあたたかい目で見守りながら、「あんな大変な仕事ができるのも若いからだな」と感心していたのが、同じ時期に駐在していたベテラン技術者の前川昌三だ。彼もまた、ターボビジネスに魅せられた人物のひとりである。

航空工学の最先端理論がターボの性能を高めていく

 「普通なら航空機の開発を目指しているようなキャリアですよね。でも私は、ターボに強く興味をもったのです」
実はターボチャージャと航空機は非常に似ている。
「エンジンの高出力化によってターボチャージャのタービンを回す排気ガスの速度も上がり、2000年前後から亜音速に達しています。将来的には音速の壁を超える可能性もあり、それだけの速さの風から確実に回転エネルギーを得るためには、航空機の機体やエンジンに通じる設計のノウハウが必要なのです」
 実際、完成したターボチャージャのタービンブレードを見ると、多様な曲面を連続的に融合させるといった非常に複雑な形状をしている。そこが前川が感じるターボのおもしろさのひとつだ。でもそれはまだ、ほんの一部に過ぎない。
「それぐらいで感心しないでくださいね。タービンはもっとも速いもので毎分20万回転します。これは通常のエンジンの30倍以上です。しかもそのときの温度は1000℃を超え、通常の鉄鋼材料では耐えきれません。それでありながら主要部品に求められるスペックは精密機械並みの厳しさ。ここが簡単に新規参入できない理由です」
開発の難しさはさらにある。
「ターボチャージャは三菱重工では数少ない量産品です。最近ではヨーロッパのある自動車メーカーから年間100万個という注文を受けたほど。したがって、生産工程を考えた設計をしなければいけないのです」
 ちなみにそれだけの数の商品を生産し、しかも多くの車種に向けた製品に対応できるように汎用機・特車事業本部のラインには最新のロボットが無数に並ぶ。そして同じ生産ラインが海外の拠点にも設置されているのだ。前川がオランダに駐在していたのも、ヨーロッパにおける開発・生産体制の強化が主な目的だった。
「ターボチャージャを完成させるに必要なパーツの調達先も多くが海外にあります。厳しい品質管理が求められることから、新規に契約したときだけでなく、その後も定期的に訪れて技術力などのチェックをしなければいけません。このため東欧から南欧、そしてアジアや中国と、ふだんならあまり足を運ばないようなところまで回りましたね」
ターボ事業においては技術者もグローバルに活躍することが求められるのである。

技術力がなければ受注はできない 事業力がなければ生産はできない

 「世界中の自動車メーカーとは常に接触をもち、新車の開発計画に合わせて受注活動を展開していきます。そして発売の4年ほど前から、エンジンに合わせて私たちもターボの開発をスタートさせます」
そこからは営業と技術がそれぞれの動きをしていく。前川の仕事からみていこう。
「今は設計作業のほとんどはCAD上で行いますので、自動車メーカーから開発中のエンジンのデータを受けとり、それにターボのデータを加えてシミュレーションを重ねながら完成に近づけていきます。昔はひとつひとつ試作品をつくってはテストしての繰り返しでしたが、そういう工程がかなり少なくなったのでやりやすくなりましたね。急激に拡大していく市場に対応するためには設計や生産の効率化が欠かせず、今後はさらに進んだシミュレーション技術を導入していくつもりです」
そして営業の竹中は、顧客と社内の設計担当者との橋渡し役に徹する。
「この段階では、まだ正式受注ではありません。複数のターボメーカーが同時に開発を進め、試作段階まで来たところでもっとも評価の高いものが選ばれるのです。それだけに、刻々と変わる自動車メーカー側の開発状況を正確に伝え、設計にブレを生じさせないのも私たち営業の役目。技術的な知識も必要な大変な仕事ですが、その分、商品開発に深く携われるという喜びは大きいですね」
 そして自分たちの開発品が採用されることになれば、次は具体的な生産体制の構築に進む。世界のどの拠点でつくるべきか、技術と事業、両方の視点で戦略を練らなければならない。前川が言う。
「量産は新車発売から約5年間は続きます。もちろん、生産が始まっても設計の仕事は終わるわけではありません。自動車メーカーからの改善要求に応えることもあれば、生産効率を高めるための設計修正もあり、開発担当者はその製品が市場に供給されている限り、手が離れることはないのです。そういうものも含めると、常に10以上のプロジェクトが同時進行している感じですね」

ターボに出会って人生が変わった それが幸せだと思える自分がいる

 「ターボがおもしろいのは、まだまだ発展途上の製品だからです。技術的には挑戦したいテーマがいっぱいありますね」
そのひとつはさらなる効率のアップだ。
「自動車用のエンジンは燃料のもつエネルギーの約3分の1しか動力に使っていません。残りは半分が発熱と冷却でなくなり、半分が排気ガスとして放出される。したがってターボチャージャによってエネルギーを無駄なく利用できれば、理論上、自動車の燃費は2倍よくなるのです」
ただし、今はまだ排気ガスのエネルギーの30〜40パーセントしか生かせていない。そのあたりが限界値との見方もあるなかで、前川はまだ希望をもち続けている。
「自動車でも航空機でも進歩が続いているように、ターボも可能性は充分に秘めています。私たちは研究所と一体となって新しい技術への挑戦を続け、画期的な製品を送り出していくつもりです」
 もちろんそれは簡単なことではない。
「たとえば熱に強い材料としてセラミックスも考えられましたが、万が一、何かしらの金属片がターボ内に入り込んだとき、破損しやすい材料だとタービンが壊れて走行できなくなってしまいます。砂漠や極寒地なども走る自動車ではそういう事態は避けたいことから、メンテナンスフリーで丈夫なものでなければならないのです」
しかし、そこがおもしろさになる。
「条件が厳しいからこそ私たちがつくる意義があるんです。メーカーで働く以上、究極の技術に挑戦していきたいですからね」
挑戦という意味では営業も同じだ。竹中が言う。
「学生時代は金融志望で、日本国内のドメスティックな仕事をしたいと思っていました。しかし人の魅力に惹かれて三菱重工に入り、今は世界中を飛び回る日々。この会社はいつも新しい挑戦ができ、育っていける。こうなったら、世界トップシェアを目指して頑張りたいですね」

パーソナルデータ

メンバープロフィール

竹中悟史 前川昌三

三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
調達部
ターボ部品調達課
主任
2003年入社
経済学部卒業

三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
ターボ事業部
技術部
設計二課
課長
1996年入社
工学研究科航空工学専攻博士課程修了

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