さいたまスーパーアリーナ -三菱ムービングテクノロジーの結晶-

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三菱のエンターテインメントコンプレックス

2000年5月、「さいたま新都心」の中核施設として、「さいたまスーパーアリーナ」が開業しました。
この施設の最大の特徴は「スタジアム」「メインアリーナ」「コミュニティアリーナ」という3種類のステージを生み出す空間拡張システムを持つことです。
当社(当時、三菱重工(株))は、共同企業体(JV)の一員として建設工事全体に携わるとともに、その主設備である可動スタンド(ムービングブロック)・ラムダ可動床・可動席、昇降天井を納入しました。

フレキシブルな可動設備「ムービングブロック」

世界最大級の可動設備であるムービングブロックは総重量15,000トン、高さ41.5メートルの巨大な構造物を、約9,000席の観客席・トイレ・テナントの施設もろとも20台の駆動台車と44台の従動台車で70メートル20分間で水平移動して、1つの建物を「スタジアム」や「高性能アリーナ」に早変わりさせることができます。

このムービングブロックが代表する空間拡張システムは、各種イベントに応じて14の空間パターンを創り出すことが可能です。これらの設備をワンタッチで簡単に転換できるのも運営者にとって魅力的であり、ラムダ昇降床が創る舞台、可動天井に取り付けられた音響・照明がいっそう効果的な演出を可能にします。

ムービングブロック

スタジアム状態

さいたまスーパーアリーナ スタジアム状態のイメージ
さいたまスーパーアリーナ スタジアム状態のイメージ

高性能アリーナ状態

さいたまスーパーアリーナ 高性能アリーナ状態のイメージ
さいたまスーパーアリーナ 高性能アリーナ状態のイメージ

開発の課題

当社は、福岡 ヤフオク!ドーム開閉屋根、横浜アリーナ、ラムダ可動席、京セラドーム大坂 スーパーリンク等の実績から確立した大型可動技術を駆使することで、アリーナの可能性と利便性を追求しました。

当社では、大型可動技術の蓄積があるとはいえ、15,000トンもの建築物を陸上で動かすのは世界でも例がないだけに、ムービングブロックの開発段階では新たな課題もありました。
スタンド構造に過大な力が作用しない為の台車姿勢制御システム、配管・ダクト類との離接合や遮音を確実に行うための停止精度・再現性の確保等です。

全体解析モデル等で、何度もシミュレーションを繰り返し、高レベルの要求性能を満足するシステムが新たに開発されました。
もちろん、火災や停電時に対応したシステムも構築され、繰り返し試運転を行って万一の災害時における機能も確認されています。
制御・機械・構造・建築各分野の技術が高度にマッチングし、これらの巨大機構をプラスマイナス数ミリメートルという停止精度での制御を実現しています。

通路ジョイントシステム
配管離接合システム
さいたまスーパーアリーナの内部構造のイラスト

開業後十数年を経過しても、今なお日本を代表する非常に高い稼働率を誇り、イベント主催者からも高い評価を得つづけているさいたまスーパーアリーナ。訪れる観客の心震える瞬間を当社の大型可動技術が今日も支えています。

設備概要

表は横にスライドしてご覧いただけます。

構造 S造、一部SRC及びRC造
地下1階、地上7階、塔屋2階
延床面積 132,310m2
最大高さ 66m
ムービングブロック 一式
ラムダ稼働席 2,300席
昇降天井 42式

三菱重工グループの実績