CO2回収技術: CO2回収プロセス

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KS-1 & KM CDR Process

CO2回収には様々な技術がありますが、現在排ガスからのCO2回収では、CO2吸収液(アミン吸収液など)による「化学吸収法」が主に採用されています。
三菱重工は、1990年に関西電力株式会社(KEPCO)と高性能なアミン吸収液「KS-1」、CO2回収プロセス「KM CDR Process」を共同開発しました。
KS-1は一般的なアミン吸収液(MEA)に比べ、エネルギー消費量が大幅に少ないのが特長です。
KS-1は現在、KM CDR Processを使用するすべての商用CO2回収プラントで使用されており、プラントの運転で培った実績やノウハウのもと、信頼性の高い吸収液として評価をいただいています。

KS-21 & Advanced KM CDR Process

地球温暖化対策のため世界各国で大規模CCSやCCUSプロジェクトが推進される中、CO2回収の省エネルギー性能、運用コスト低減、環境負荷低減などの課題への対応が求められています。
その声に応えるために、関西電力株式会社(KEPCO)と共同で新型吸収液「KS-21」およびKS-21を採用した最新鋭のCO2回収プロセス「Advanced KM CDR Process」を開発しました。
これらは、2021年に世界最大級の実験施設ノルウェー・モングスタッドCO2回収技術センター(TCM)での実証試験を経て商用化を完了しています。

KS-21の主な特長(従来のKS-1および一般的なアミン吸収液との比較)

  1. 揮発性が低く、劣化に対する安定性が高い
    吸収反応熱が低減し、回収エネルギー削減に寄与。
    お客様の運用コスト削減など経済性の向上が期待できる。
  2. 低いアミンエミッション(注)
    吸収液消費量の低減、環境負荷低減につながる。
    環境影響評価について第三者機関による信頼性の高いエミッション計測結果を取得済。
    • 吸収塔から大気に放出される微量のアミン物質の値を指し、この数値が低いほど環境影響が少ない優れた技術であることを示す。
  3. 多様な排ガス源からのCO2回収に対応
    従来の発電や化学プラントに加え、バイオマス、LNG液化プラント、製鉄・セメント工場、ごみ焼却施設など、産業・インフラ分野で基本設計・パイロット実証・ライセンス供給などの案件組成段階からお客様をサポート。

プロセスフロー図

CO2を含む排ガスは、排ガス冷却塔で冷やされた後、吸収塔内でアルカリ性のKS-1吸収液と接触し、排ガス中のCO2が吸収されます。CO2を多く含む吸収液は再生塔に送られ、蒸気により加熱することでCO2を放出し再生されます。再生した吸収液は吸収塔に戻し再利用します。このプロセスの特徴は、対象ガスに含まれるCO2を90%以上回収(純度 99.9vol%以上)することができ、さらに独自の省エネ再生システムにより蒸気消費量の低減を実現しています。

プロセスフロー

KS-21適用事例

KS-21は、世界最大規模となる年間800万トン以上のCO2排出量削減を目指す英国電力会社Drax社のプロジェクトでの長期使用契約が締結されています。
これは、英国におけるバイオマス発電所からCO2を回収するもので、当社グループの実績、多種多様な排ガス源に対応できる技術力、最新の改良型CO2回収技術が評価されました(Drax社 CEO Will Gardiner様 ビデオメッセージ)。

三菱重工グループの実績