原子燃料サイクル
[ 原子力発電 ]

「原子燃料サイクル」とは、原子燃料の採掘から再利用までの流れをいいます。
原子力発電の燃料となるウランは、ウラン鉱山から採掘された後、様々な工程を経て燃料集合体に加エされ、原子炉に装荷されます。発電を終え、使い終った燃料の中には、まだ燃料として利用できるウランや発電中にウランから生まれるプルトニウムといった資源が含まれているため、これらを回収して再処理することにより、再び燃料として利用し、長期にわたるエネルギーの安定供給に役立てることができます。 原子燃料サイクルは、軽水炉の場合を例にすると次のような流れになります。

原子燃料サイクルの流れ

原子燃料サイクルの流れ
出典:一般財団法人 日本原子力文化財団「原子力・エネルギー」図面集

三菱重工グループでは、わが国のエネルギーセキュリティ確保に貢献すべく、国および日本原燃株式会社殿などの計画に積極的に参画し、原子燃料サイクルの確立に向けて以下の様々な取り組みを推進しています。

1)ウラン濃縮

日本原燃株式会社殿の六ヶ所ウラン濃縮工場建設に参画し、遠心分離法によるわが国のウラン濃縮技術の確立に貢献しています。

2)使用済燃料の再処理

わが国の原子燃料サイクル完成に欠かせない使用済燃料再処理技術の確立のため、日本原燃株式会社殿の六ヶ所再処理工場の運転開始に向けて、建設の推進に着実に取組んでいます。また、高速炉燃料サイクルの実用化を目指して、次世代再処理技術の開発を進めています。

3)燃料の輸送・貯蔵

新燃料および使用済燃料の輸送ならびに、使用済燃料の中間貯蔵に関して、安全性・信頼性が高く、経済性に優れた輸送容器の開発などを進めています。

4)地層処分

使用済燃料の再処理によって発生する高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)を安全に地層処分するために、研究開発に取り組んでいます。

燃料の供給

1)設計

三菱重工グループでは、最新システムを駆使し、原子力発電プラントの総合的な設計として信頼性の高い原子燃料製品を生み出しています。

炉心設計
炉心設計では、新設プラントの基本設計から既設プラントにおけるサイクル毎の取替炉心の詳細設計など、原子燃料を安全に効率良く使うための炉心管理技術を提供しています。また、オンラインモニタリングシステムによる高度な炉心管理をはじめ、広範囲に渡る運転支援を行っています。
更なる燃料性能の向上
燃料の装荷期間を長くする高燃焼度燃料(55Gwd/t)を開発し、更なる高性能燃料の開発に取り組んでいます。

2)製造

三菱重工グループでは、燃料の設計、炉心の設計を三菱重工業株式会社で行い、原子燃料の製造は、再転換加工から燃料集合体組立まで、一貫して生産するわが国唯一のメーカーとして豊富な実績を誇る三菱原子燃料株式会社(MNF)で行っています。
高度な品質をより一層確かなものとするために、製造の各工程において、最新の技術を駆使して、きめ細やかな検査を行うなど、万全の品質保証体制を実現しています。

3)研究開発

三菱重工グループでは、国内外の研究機関・メーカーと協力し、材料基礎研究から応用技術研究まで、発電プラントに関する幅広い研究開発を展開しています。豊富な実績を持つ三菱重工高砂研究所のほか、茨城県東海村に所在する独自のホットラボ施設で原子燃料・燃料サイクルおよび原子炉材料などの研究開発を行うMHI 原子力研究開発(株)の施設にて、信頼性の向上とより一層の高性能化へ向けて日々技術革新を進めています。

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