F形ガスタービンの開発
三菱重工業の大型ガスタービン開発は30年以上の歴史をもっていますが、中でも1980年初めのD形ガスタービンによるタービン入口温度1,150℃の達成が、大きな節目となっています。更にそれに続く高効率化ガスタービンの開発に於いて重要な位置を占めているのが、産業用の小型ガスタービンMF-111の開発であります。MF-111には将来の大型ガスタービンへ適用される最先端の要素技術が多数盛り込まれ、日本の産業用ガスタービンのベストセラーの一つとなりました。そのMF-111の要素技術には、ヘビーデューティ用ガスタービンとしては当時世界最高のタービン入口温度や、自社開発材料の精密鋳造による高度な冷却構造のタービン翼や、組立ディスク式ロータといった特徴があります(図1)。これらの最新技術により、MF-111は大型ガスタービンのモデル検証機の役割を担い、これに続くF形ガスタービンの開発への大きな布石となりました。
F形ガスタービンは、三菱重工業高砂研究所の最先端の要素技術開発研究を中心に、1980年代後半から開発が進められました(図2)。特に燃焼器については、D形ガスタービンに搭載された世界初のDLN(Dry Low NOx)燃焼器をベースとして、新たに開発したマルチ予混合タイプのDLN燃焼器が採用されています(図3)。
F形ガスタービンの初号機は60Hz機のM501Fで、1989年に高砂製作所での工場試験で実負荷運転を行い、詳細なデータを取得し、エンジン各部が設計通りであることが確認されました。この成功に基づき、商用初号機のM501F×4基がWestinghouse Electric Corp.(現Siemens Westinghouse Corp.)を通じてFP&L(Florida Power & Light)に納入されました(図4)。また、50Hz機M701Fの初号機は、電力会社へのピークロード時の売電を目的として、MHI横浜パワーに納入されました(図5)。その後、M501F、M701Fは着実に納入実績、運転実績を蓄積し、F形の総運転時間は200万時間を超えました。また、これまでに経験したいくつかの技術課題を克服し、更に信頼性を向上させています。F形ガスタービンの売上台数は115台を超え、現在ではMHIで最も実績の多い機種となっています。
現在、F形ガスタービンは信頼性を維持しつつ高効率化を図ったアップレート型に改良されています。アップレート型のF形ガスタービン(F3形)は、1997年より50Hz機、2001年より60Hz機が商業運転に入り、優秀な信頼性及び稼働率を維持しています。
このようにF形ガスタービンはMHIの最先端技術を結集した高いパフォーマンスを発揮するガスタービンであり、今後更に新しい技術を適用することで常に進化させていく予定であります。
関連技術情報
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