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風車導入拡大へのための課題を克服しよう

日本風力エネルギー協会 副会長 三菱重工 勝呂幸男

 平成14・15年度の2ヶ年に亘って「風力発電に関する総合調査委員会」が組織され、風車の利用率向上に向けた顕在的・潜在的な技術的課題の抽出とその対応策が検討された。 その具体的な導入手法として本年6月にNEDOから風力発電導入ガイドラインが発行された。これはわが国の風力発電をエネルギー供給の柱にするには,導入される風車を今まで以上に信頼性の高いものにする必要からで,設置される地域の気象条件をきちっと調査し,適切な風車を建設しようという流れから作成された。
 ご承知の通り米国ではかつてPURPA法を適用した風車が所謂カリフォルニア風車ブームを起こしたが,運転後に多くの故障が発生し,その信頼性や安定エネルギー供給機器の評価が得られなくなった。 この評価により風車が葬り去られてはいけないと考えた技術者が中心になって,技術向上と信頼性向上のための標準設計基準が作成された。これが世界標準の始めであり,発展的に国際電機会議(IEC)の技術標準になった。 わが国からもIECには委員が参画したが,基本的な各種データは欧州のものが使われ,一部に米国の計測データが補足されたが,アジアのデータが反映されることは無かった。
 風車の導入は,今までは欧米の国際的基準を適用した風車が導入されてきたが,一方で多くの問題が発生した。一番大きな,そして人々の関心を引いたのは宮古島の風車倒壊を含む事故であった。 宮古島は簡単に手に入る理科年表に記載されている80m/secの強風番付一位の実績があるところで,前述のIEC等の標準からは到底,標準風車を設置出来ない所であるが,噂によるとCLASSⅡと呼ばれる,最大耐強風設計が60m/secの風車が導入されていたとの事。

 この話がわが国の風車導入の実際を象徴的に表している。

 即ち,風車本体は標準風車でなければ入手できないが,風車設置場所は地域のいわばローカルな設計条件となるから,設置者は気象条件を計測,評価から設置予定地に最適な風車を設置する必要がある。 前述の事故はこの機種選定で気象に関する考察に欠けていた。落雷に関しても同様で,風車に大きな影響を与える雷エネルギーの非常に大きな落雷の存在は,前記総合調査委員会で検討されるまでは,大きな課題との認識は少なかった。
 風車倒壊の苦い経験から土木学会も「風力発電設備支持物構造設計の指針と解説」を発行し,わが国の風車設置に際しての設計条件等に関する指針と構造設計の指針を示している。
これらの各種の指針やガイドラインは,今までわが国の風車導入において技術的に明確でなかった部分を最初に示したもので今後活用が期待される。
 わが国の気象条件と風車設計強度を考えてみると,未だ設計条件として不明なところが多い。建築場所の気象条件は全て異なっていると言える。
 前述の例だけでなく,我々には未だ多くの困難な問題が起こってくると思われる。我々はインドや中国の進歩を見るにつけても,そしてわが国の多くの課題を克服し,世界に冠たる環境立国,技術立国を作り上げていくためにもこれらの課題を克服することが必要である。 これらを克服した時には日本の風車はどこに建設されても高信頼性,安定したエネルギー供給機器と認識され,多くの人たちから尊敬されるような機器となる。 また,メーカ的な考えを言葉にすると,わが国の風車が今後,これらの課題を克服することが出来れば,その機械は世界中に販路を造ることが出来る。今後も最新技術でこれらの課題に取り組み,世界中に風車を供給出来るようにしたいものである。まさにフィンランドのノキアのように。