第2回 原子力安全推進委員会
ステアリングコミッティ議事録

1.開催日時 平成26年3月4日(火曜日) 15時30分から16時30分

2.開催場所 本社品川ビル28階2805会議室
3.出席者
宮永委員(取締役社長)
渡辺委員(経営監査部長)
小口委員(社長室企画部長)
中山委員(社長室広報部長)
正森委員(取締役常務執行役員、原子力事業部長)
門上委員(執行役員、原子力事業部副事業部長)
六山委員(三菱日立パワーシステムズ株式会社 高砂工場 地域統括)
松本委員(エネ環ドメイン品質保証総括部長)
浅田委員(エネ環ドメイン品質保証総括部 原子力安全・品質監査部長)
斉藤委員(原子力事業部 品質保証部長)
梅田委員(原子力事業部 原子力技術部長)
オブザーバー
高尾部長(三菱日立パワーシステムズ株式会社 品質保証総括部 高砂品質保証部)
事務局
玉田主席(品質保証総括部 原子力安全・品質監査部)
小谷社員(品質保証総括部 原子力安全・品質監査部 原子力品質マネジメントグループ)
4.議事次第
(1)
開会挨拶
(2)
Safety Topics -「リスク補償行動」と「リスクテイキング」
(3)
国内外の規制側の要求と当社における原子力安全
(4)
原子力の安全文化醸成について(神戸地区の取り組み)
(5)
ビジネスパートナー向け安全文化醸成活動冊子の紹介
(6)
原子力の安全文化醸成について(高砂地区の取り組み)
(7)
原子力規制改正と当社の対応について
 <自主的安全性向上ワーキンググループ>
(8)
全体ディスカッション
(9)
御講評
5.議事概要
(1) 開会挨拶
  • 本ステアリングコミッティは、美浜3号機事故を契機とした「原子力社内改革委員会」に代え、原子力事業部内の「原子力安全推進委員会」の上位に位置し、原子力事業に係る諸問題の社内の情報共有と対応方針の決定、及び、原子力の品質マネジメントシステムの革新と社内展開について、社長をヘッドに審議を行うものである。
  • 今回は、原子力の安全文化醸成活動と、原子力規制改正に伴う当社の対応の2点を報告し、御意見を頂きたい。
(2) Safety Topics-「リスク補償行動」と「リスクテイキング」
  • 原子力事業部では、安全文化を醸成する活動の一環として、会議の冒頭にSafety Topicsを紹介し、会議のメンバー全員が安全に関して考える時間を持つ様にしている。米国ではSafety Topicsは当たり前の様に実施されている。
  • 人間はリスクの目標水準を持っており、安全性を高める物的対策がとられてもそれを打ち消すリスク補償行動をとる傾向がある。
  • 安全の達成・維持・向上には物的対策のみでは不十分で、人間の心理的特性を理解してリスクの目標水準をゼロに近づけるマインドを、組織のメンバー一人一人に醸成する安全文化の醸成活動が重要である。
(3) 国内外の規制側の要求と当社における原子力安全について
  • 平成25年7月8日施行の新規制基準で、電力事業者とその調達先も安全文化醸成活動が求められる様になった。
  • 「安全文化」はチェルノブイリ事故の報告書で初めて導入され、東京電力福島第一原子力発電所事故においてもその重要性が改めて認識されている。
  • 当社における原子力安全文化とは、原子力安全を達成するために、その重要性にふさわしい注意が最優先で払われる組織や個人の特性や姿勢の総体であり、品質方針の第1項に「原子力に係る全ての安全を最優先する」を掲げている。
  • 当社では、関西電力美浜発電所3号機配管破損事故後、QMSの改善や安全文化醸成活動を実施してきており、東京電力福島第一原子力発電所事故後の状況を踏まえ、本年度は、原子力安全文化醸成活動を行動に反映できるようにして活動している。
(4) 原子力の安全文化醸成について(神戸地区の取り組み)
  • 本年度は原子力安全文化を要員の一人一人にまで浸透させることを狙って実行計画を策定して取り組んでおり、原子力安全と労働安全を含む「すべての安全を最優先する文化を醸成する」というトップの強い意志を示し、INPOの「強固な原子力安全文化を実現するための行動原理」を周知し、社員一人一人に浸透させる活動やビジネスパートナーへの啓発活動を行ってきた。
  • 実践例として、再稼働申請対応やシビアアクシデント対策工事において全メンバーが高いモチベーションを持ちノートラブルで対応中である。
  • 活動の評価として、原子力安全推進協会による安全文化アセスメントやピアレビューの受審、及び、内部監査を実施している。
(5) ビジネスパートナー向け安全文化醸成活動冊子の紹介
  • 三菱重工としてビジネスパートナーの皆様に、原子力安全文化醸成活動について理解を深めてもらうことを目的として冊子を作成し配付している。
  • 冊子では、原子力安全の基本は、安全を確保する「技術」と確実に仕事をするための「QMS」あり、これをさらに確かなものにするためには“リーダーシップ”により「個人の心」にまで入り込み、組織や個人に対する意識の改革活動が安全文化の醸成活動であると示している。
(6) 原子力の安全文化醸成について(高砂地区の取り組み)
  • 安全文化醸成活動として、原子力安全・品質向上プロジェクト活動を母体に展開し、その活動状況を月1回開催のリーダー会議で議論している。
  • 不適合の風化防止活動として「原子力安全の日」、「原子力品質の日」を定め毎年高砂工場で幹部から原子力関係者への訓示を行い、現地定検作業所においてもパートナーを含む関係者へ訓示を行っている。
  • パートナー各社との連携強化を図るため、所長以下高製幹部が出向いてパートナー各社幹部と面談で原子力事業に関する状況を説明する活動を継続している。更に今年度はビジネスパートナーの要望に応える形で若手社員を工場にお招きし、自社製品が実機に組み込まれているところを見て頂きモチベーション向上に繋げた。
(7) 原子力規制改正と当社の対応について<自主的安全性向上ワーキンググループ>
  • このワーキンググループは、経産省の「規制に安全を委ねるだけでは不十分であり、事業者・産業界が自ら規制以上の安全性を追求しなければ安全は確保できない」との認識の下、参考とする米国産業界の状況を踏まえ、日本版NEI設置も視野に入れた検討を目的に設置された。
  • 昨年7月から10回のワーキンググループが開催され、昨年12月には中間取りまとめを公表し、今年3月末に最終報告書を取りまとめる予定である。
  • 中間取りまとめの内容として、PRAの高度化と開発、産業界としての仕組み構築等があげられており、当社としてはそれぞれ、PRA評価手法の開発やリスク情報を活用した安全性向上のための新たなビジネスモデルの構築、及び、産業界の安全性向上に向けた体制構築への支援・協力が必要である。
(8) ディスカッション
i) 自主的安全性向上ワーキンググループの活動について議論がなされた。
  • NEIに相当する組織が日本の産業界にあると、状況は違うのか
  • NEIは各電力事業者、あるいはINPOやEPRIなどの意見を集約して規制側に意見できる。現状では、NRAは独立性を重要視する姿勢で日本の産業界との対話が少ないと言われているが、NEIの様な組織ができれば、対話の少ないと言われる現状が改善される可能性がある。
ii) 再稼働にむけた安全審査と規制要求事項への対応に関して、議論がなされた。
  • 安全性の向上と規制側の要求についてバランスをとっていく必要があるのか
  • 電力事業者は、今は規制要求事項に対応してプラントの安全性を高めている。
  • 原子炉安全についてはプラントの安全性は高まっている。一方で安全対策設備には可搬式のものもあり新規で設備を設置するため、通路等の確保が苦しくなる等、保守性や作業者の労働安全については必ずしもよい条件とはならない場合もあり今後見直していく必要がある。
(9) 講評
  • 原子力安全の確保のため規制要求事項は厳しいが、事故が起こらない様に気を付け、注意して頂きたい。
  • 安全性向上の観点から、よく考えてやって頂きたい。

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