当社製2.4MW風車の米国輸入に関する米国国際貿易委員会の仮決定について

三菱重工業株式会社
当社製2.4MW可変速風車が、ゼネラル・エレクトリック社(以下「GE社」という。)の特許を侵害したとして、GE社が米国国際貿易委員会*1(以下「ITC」という。)に申立てを行い、進められていた調査手続*2において、ITCのCarl C. Charneski行政法判事*3は米国時間8月7日、当社製2.4MW可変速風車の米国への輸入が、1930年関税法337条に違反しているとの仮決定を行いましたので、本件に関する当社の見解を下記のとおりお知らせします。

なお、今回の決定は行政法判事の仮決定であり、直ちに風車の米国への輸入が差し止められるものではありません。今回の仮決定内容を踏まえ、ITCが当該決定の修正の当否を決め、最終決定を出します。当社としましては、今回の決定は誠に遺憾であり、本年12月7日までに予定されているITCの最終決定に向け、当社の主張が認められるよう、今後、ITCに働きかけるほか、必要な措置を講じていくこととしております。当社は、ITCが、最終決定において、当社製2.4MW可変速風車の輸入が、1930年関税法337条に違反していないと判断するものと考えております。
1.調査手続の内容
本調査手続は2008年2月末にGE社が、当社製2.4MW可変速風車は2件のGE社の米国特許を侵害し、1930年関税法337条に違反しているとして、当社、MHIA社*4及びMPSA社*5を被申立人としてITCに申立てを行い、ITCが調査手続を進めていたものです。その後GE社は、さらにもう1件の特許を侵害しているとして、申立内容を変更しています。
2.今回の仮決定の内容
ITCのCharneski行政法判事は、当社製2.4MW可変速風車が、GE社の上記3件の特許について、侵害していると認定しています。一方、そのうちの1件については、GE社は米国で使用実績がないとの認定をしています。したがって、結論として、行政法判事は3件の特許のうち、2件について、1930年関税法337条の違反を認め、残りの1件については、違反を認めませんでした。なお、行政法判事は、今回の違反の認定を踏まえた具体的な行政処分の内容につきましては、判断を明らかにしておりませんが、2週間以内に判断が出される見込みです。
3.当社の見解
当社は、他社の知的財産権を尊重しており、本件に関しいずれの特許も侵害していないし、1930年関税法337条違反もしていないと考えております。したがって、今回の決定は誠に遺憾であり、本年12月7日までに予定されているITCの最終決定に向け、当社の主張が認められるよう、今後、ITCに働きかけるほか、必要な措置を講じていくこととしております。
4.今後の見通し

ITCが同行政法判事の仮決定をレビューしている期間中は、事業が中断されることはありません。ITCの最終決定は、本年12月7日までに予定されています。行政法判事による仮決定は最終決定ではなく、仮決定がITC最終決定において変更される可能性もあります。また、ITC最終決定内容が米国大統領に承認されない可能性もあります。さらに、その後の控訴審において、ITCの最終決定が連邦巡回控訴裁判所により、覆されたり修正されたりする可能性もあります。

このように、本件が最終的にどのように終結するかについては多くの不確定な要素があるため、今後の進展に応じて、開示すべき事項等が発生した場合には速やかにお知らせいたします。

当社は、クリーンかつ再生可能な風力エネルギーの利用を促進する米国顧客の諸活動を、引き続き支援してまいります。

注1.米国ITC(ITC:International Trade Commission)は、米国内の産業から提起される不公正貿易行為についての申立てを調査・審理する政府機関。

 

注2.米国の1930年関税法337条では、米国に輸入される製品が特許を含む知的財産権を侵害している疑いがあり、米国内でその知的財産権を所有かつ利用している者からの申立てがあった場合、ITCが調査を行えることとなっています。

注3.ITC行政法判事(Administrative Law Judge (ALJ))は、ITCが上記調査手続の開始を決定した場合、当該調査手続を遂行し、申立人と被申立人が提出する証拠に基づき同条違反の有無について仮決定を下す権限を有しています。

注4.MHIA社(Mitsubishi Heavy Industries America, Inc.)は当社米国法人。

注5.MPSA社(Mitsubishi Power Systems Americas, Inc.)はMHIA社の100%子会社であり当社原動機事業の米国拠点。