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MHIEC、エネルギー自立型汚泥焼却炉を開発、初号設備を東京都下水道局から受注
バイナリー発電装置との組み合わせで省エネ・地球温暖化抑制に大きく貢献

発行 第 5791号
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 三菱重工グループの三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社(MHIEC、社長:神野 定治、本社:横浜市西区)は、従来型の下水汚泥焼却炉にバイナリー発電装置※1を組み合わせることで焼却設備消費電力を廃熱発電で全面カバーできるエネルギー自立型汚泥焼却炉を開発、技術認定先の東京都下水道局から初号設備を受注しました。処理能力250トン/日の設備を都内板橋区の「新河岸水再生センター」で2020年3月に完成させる計画で、この焼却炉の普及により省エネルギー・地球温暖化抑制への大きな貢献が期待できます。

 エネルギー自立型汚泥焼却炉は、東京都下水道局が2014年6月に策定した下水道事業におけるエネルギー基本計画“スマートプラン2014”での再生可能エネルギー活用の拡大をはかるため、下水道プラントメーカーが参画した共同研究の成果です。汚泥焼却炉から発生する温暖化係数がCO2の約300倍に達するN2O(一酸化二窒素)の大幅な削減に加え、汚泥焼却に必要な電力・燃料由来のCO2排出を防止できる画期的な技術と位置づけられています。

 MHIECの技術は、流動燃焼最適化システム(M-COM※2)を備えた流動床式の焼却炉と高効率バイナリー発電装置を組み合わせているのが特徴で、省エネ・低CO2排出とN2O削減を両立します。M-COMは、汚泥焼却炉の燃焼状態を複数の計装項目を検出して最適に制御するMHIEC独自の燃焼制御技術です。一方、バイナリー発電装置に供給する廃熱回収熱源には安定した実績を持つ熱媒油を採用し、蒸気ボイラー・タービン発電方式に比べ大幅に高い発電効率を実現。水再生センター内消費電力の抑制を可能にしました。

 今回受注した「新河岸水再生センター汚泥焼却設備再構築その2工事」は、経年劣化した既存汚泥焼却設備の代替として建設するものです。焼却炉と発電装置のほかに、脱水汚泥供給、熱交換、灰処理、白煙防止、排ガス処理などの関連装置の設置も行います。

 MHIECは、三菱重工が長年培ってきた汚泥処理分野の技術開発力と豊富な建設・運営ノウハウを2006年に継承。多数の実績に基づく、建設から運営まで含めた総合的ソリューション提案力を強みとしています。
 MHIECは、今回の東京都下水道局によるエネルギー自立型汚泥焼却炉の技術認定および初号設備受注を弾みとして、下水汚泥処理施設の省エネ・温暖化抑制策についての提案を積極的に推進し、受注拡大をはかっていきます。

※1沸点の低い媒体を加熱・蒸発させて、そのガスでタービンを回す発電方式で、その名称は加熱源系統と媒体系統のバイナリー(Binary:2つの)熱サイクルを利用することに由来し、地熱発電などでも利用されています。
※2 M-COM:MHIEC fluidized Combustion Optimization Method

Tags: 環境装置,アジア,I&Iドメイン
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