Press Information

東海汽船向け貨客船「橘丸」を下関造船所で引き渡し
大幅な省エネ・環境負荷低減を実現、快適・安全性も向上

発行 第 5536号
Print

 三菱重工業は4日、東海汽船株式会社向けの貨客船「橘丸(たちばなまる)」を、当社下関造船所(山口県下関市)で引き渡しました。高効率推進システムの採用により大幅な省エネ・環境負荷低減を実現した“スーパーエコシップ”で、快適性や安全性の向上もはかっています。また、イラストレーターであり東海汽船名誉船長でもある柳原良平氏※によるイエローオーカー色(黄土色)とオリーブグリーン色の斬新なカラーリングも特徴です。

東海汽船向け貨客船「橘丸」を下関造船所で引き渡し<br />大幅な省エネ・環境負荷低減を実現、快適・安全性も向上
 同船は全長118.0m、幅17.0m、深さ8.95m(喫水5.40m)で、総トン数約5,681トン。航海速力は19.0ノット(約35.2km/時)です。起工は昨年3月で、同11月に進水しました。引き渡し後は6月27日より東京と伊豆諸島を結ぶ航路に就航します。

 推進システムは、低速ディーゼル機関の1軸推進によるプロペラと、推進方向が自由に変えられる電動アジマス推進器のプロペラを前後に直線配置し、二重反転させる「タンデム・ハイブリッド型CRP推進方式」です。従来の2軸推進方式に比べ船底の付加物が減ったため、水中の抵抗が大幅に減少しました。また、速度制限がある湾内・水道では燃費性能に優れた低速ディーゼル機関だけを使った推進に切り換えることで、さらに省エネ効果を高めることができます。

 この結果、推進システムの省エネ性能は、東海汽船で就航中の貨客船「さるびあ丸」(当社建造)と比べ15.6%改善します。加えて、主機関の低速ディーゼル機関には電子制御燃料噴射装置を搭載することにより、機関燃焼効率が向上し、排ガス中のCO2とNOx(窒素酸化物)が減少。排ガスの熱を有効利用する装置も搭載しています。

 一方、快適性の面では、1軸推進の採用で主機関が1基となり、かつ必要出力を静粛性が高い電気推進と分担して確保することで、低騒音・低振動を実現。さらに、船首の横方向推進用スラスター(バウスラスター)に加え、アジマス推進器が船尾の横方向推進用として活用できることから、離着岸の安全性と迅速性も向上します。

 当社は、省エネ・環境性能を高めたエコシップを船舶・海洋事業分野の重点製品と位置づけています。今回、環境性能に加え話題性も高い橘丸の建造を手掛けた実績を弾みとして、多彩なエコシップの技術開発および提案営業に一層注力していきます。

※ 1931年東京都生まれ。トリスウイスキーのCMキャラクターとして描いた「アンクルトリス」が人気を呼びました。無類の船好きとしても知られ、海運各社から「名誉船長」の称号を贈られています。

mission_net_zero

三菱重工グループについて

三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。

詳しくは: