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長尺ワークの精密加工ができる門形マシニングセンター「LH250」を開発
クラス最高水準となる±5μmレベルの高精度で2m超す難削板材や金型に対応

発行 第 5198号
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 三菱重工業は、2,000mmを超す長尺ワークも精密加工できる門形マシニングセンター「LH250」を開発、本格販売を開始した。構造体の吸振性と高速主軸の剛性を大幅に高めるとともに、独自の主軸潤滑冷却技術と長時間に及ぶ高精度加工で問題となる機械の自己発熱を徹底して抑える工夫により、加工精度は±5μm(0.005mm)レベルと、大型機ではクラス最高水準を実現した。航空機などの難削系板材部品や金型などの加工現場を中心に普及を目指す。

 LH250は、高精度金型の直彫りや電極・精密部品などの加工用として2006年から販売している小型精密加工機「μV1(マイクロヴイワン)」のコンセプトを大物ワークにも適用できるように開発した製品。テーブルサイズが長さ2,500mm×幅1,000mmで、質量3,000kgまでのワークを載せることができる。

 機械本体には吸振性に優れた特殊摺動面構造を採用。主軸の潤滑冷却では、最適な温度に設定した潤滑油を主軸の内部と外筒に循環させることにより、効率よくかつ均一に主軸の温度をコントロールすることで、機械の稼働率向上を実現している。軸受には信頼性が高く冷却効率のよい特殊な潤滑方法を採用することで高速回転に伴う発熱による伸び(熱変位)を抑制するとともに、低速から高速まで予圧※1を最適に保つことで高い主軸剛性を実現し、長時間安定した加工精度を維持できるようにした。

 主軸仕様はHSK-A63※2で、回転速度200~2万回転/分の全領域で高トルクを発揮するワイドレンジタイプのモーターを採用することにより、多様なワーク材質について幅広い加工条件に対応できるようにした。オプションの回転軸を付加すれば、4軸、5軸の加工にも対応できる。また、板材以外に高さがあるワークの加工向けに、門形構造コラムを250mm高めたハイコラム仕様も用意している。機械の奥行きは、加工現場への搬入や設置が容易な寸法の3,300mmに抑えた。

 当社の工作機械は、自社の事業所や協力企業での多様な加工にも多く使われており、現場のきめ細かいニーズを新たな製品開発に反映しているのが強み。LH250も、当社が手掛ける航空宇宙や原動機、量産品など幅広い事業分野の声を豊富に採り入れ、門形加工機と小型精密加工機で培った当社ならではの要素技術を融合・結集して開発した。

 当社は、18日(水)~21日(土)に大阪市のインテックス大阪で開催される「INTERMOLD 2012(第23回金型加工技術展)金型展2012」で、LH250について紹介。従来の精密加工機では対応しにくかった長尺ワークや中間サイズワークに対する需要を着実に掘り起こし、顧客の拡大に弾みをつけていく。
門形マシニングセンター LH250の主な仕様
主 軸 仕 様 HSK-A63
主軸回転速度 200~20,000回転/分
主軸電動機出力 22/18.5kW(30分定格/連続定格)
主軸最大トルク 124N・m(連続)
軸 移 動 量 2,500×1,000×600mm(X×Y×Z)
送 り 速 度 12,000mm/分(XYZとも)
外 形 寸 法 7,380×3,593×3,300mm(長さ×高さ×奥行き)
本 体 質 量 20,000kg
※1
予圧は、軸受の内部や摺動部の遊び(すき間)を、組み立て時や調整時などに予め負荷をかけて少なくすることで、回転軸の振れ精度向上や振動・騒音の低減が目的。
※2
HSKは、主軸に切削工具を取り付けるシャンク(接続ホルダー)の型式で、ISO規格に基づく。主軸 と切削工具は、カップリング(軸継手)部においてテーパー(円錐)状部分とフランジ(円板)状部分の2面で拘束されるため、振れなどに対して高い精度を確保できる。Aは、主にマシニングセンターの主軸に採用されているタイプで、ミーリング加工用。63は対応する工具の径サイズ範囲を示す。

 


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