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燃費15%向上のエコLNG船を日本郵船から受注
高熱効率の新型蒸気タービン機関「UST」を初搭載

発行 第 5039号
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 三菱重工業は、燃料消費量の大幅な節約を実現した液化天然ガス(LNG)運搬船を、日本郵船株式会社から受注した。蒸気を再度加熱利用することで熱エネルギー効率を高めた新型蒸気タービン機関「MHI Ultra Steam Turbine Plant」(UST:再熱舶用推進蒸気タービン)を初めて主機として採用したのが特長で、燃費が従来の蒸気タービン機関に比べ約15%向上する。完成・引き渡しは2014年の予定となっている。

 このエコLNG船は全長288m、幅49m、深さ26.8m、総トン数12万3,000トンで、多くのLNG船で採用され、安全性と信頼性が立証されているMOSS方式※の球形タンクを4基搭載する。タンクの総容積は14万5,400m3。船舶のバランスを保つために搭載する海水を浄化するバラスト水処理装置を装備するほか、低硫黄燃料油も使えるようにして、環境配慮を徹底する。

 USTは当社が独自に実用化した技術で、高圧・低圧タービンのほか、中圧タービンが新しく追加されているのが特長。ボイラーから送られ高圧タービンを回した後の蒸気を再びボイラーに戻して再加熱し、中圧タービンの駆動に使った後に低圧タービンの駆動にも使う。高圧タービンと低圧タービンを回した後の蒸気がコンデンサーを経て復水するだけの在来型蒸気タービン機関に比べ、熱エネルギーのカスケード利用(階段的利用)が促進されて燃料消費を減らすことができる。 蒸気タービンは故障のリスクが低いなど安定稼働に対する信頼性が高い。今回USTの採用により、大幅な低燃費という新たな強みが加わることとなった。

 現在、国際海上輸送においても省エネ・地球温暖化抑制への取り組みが強く求められており、国際海事機関(IMO)でも、CO2排出抑制に向けた条約作りが進められている。当社は、CO2削減ニーズに適合した高付加価値船舶の開発を重要課題と位置付けて事業に取り組んでおり、今回のUST搭載船もLNG船のような就航密度が高く安定的な稼働が求められる船種向けの技術として実用化した。当社は船舶および主要な舶用機器を手掛ける高度な省エネ・環境技術を統合し、エコシップの開発と顧客拡大に力を注いでいく。

※ MOSS方式=自立球形タンクを円筒形の支持構造(スカート)により固定した構造。

 

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