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PWR電力5社と地震に強い使用済原子燃料ラックの実用化へ
実物大試験体を使ったE-ディフェンスでの水中試験を一般公開

発行 第 5033号
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 三菱重工業は、関西電力株式会社など加圧水型原子炉(PWR)プラントを運転する国内電力5社と、原子力発電所の使用済燃料を一時貯蔵する新たな方式のラックを開発し、実用化に向け実証試験を開始した。プール内に自立させるフリースタンディング方式で、耐震性能が高く施工性にも優れるのが特長。安全性確認のため、独立行政法人防災科学研究所の実大三次元震動破壊実験施設「E-ディフェンス」(兵庫県三木市)で、実物大の試験体を用いた水中振動試験に取り組んでおり、2月21日には試験の模様を一般に公開した。

 フリースタンディング方式の使用済燃料ラックは、従来方式のようにプール壁面からの支持や床面へのボルトによる固定などが不要なことから、構造が簡素。地震時には床面との摩擦力や周囲の水との間に発生する抵抗力など、流体特性に由来する制振効果を発揮する。このため、大きな地震に対しても強度設計余裕を確保することが容易で、施工もしやすい。
 同方式のラックはすでに欧米では多くの採用実績があり、今後の国内における実用化に向けて、今回実規模の水中振動試験による実証を行うこととしたもの。

 PWR向けラックの実証は、関西電力株式会社を幹事会社に北海道電力株式会社、四国電力株式会社、九州電力株式会社と日本原子力発電株式会社および当社が共同研究として2010年度から2年間の予定で取り組んでおり、E-ディフェンスでの大型水槽を用いた加振試験は、3月中旬まで実施する。

 試験体ラックは高さ約4.5×幅約3×奥行約2mで、重さ約70トン。70体の燃料集合体を収納できる。21日の一般公開には一般見学者など約50人を招き、国内で想定される設計用基準地震動を超える模擬地震波を使って安全性を確かめた。

 フリースタンディング方式の使用済燃料ラックは、耐震性能の高度化をはかる新たな燃料貯蔵技術として期待されている。当社およびPWR電力5社は、本試験検証の結果を踏まえ、財団法人発電設備技術検査協会の確性試験委員会による技術的審議を受けながら、数年以内をめどに実用化につなげていく。

 


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