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神戸造船所に排ガス対策に向けた舶用ディーゼルエンジン試験設備を設置
IMOの3次規制に対応し、NOx80%削減目指す

発行 第 4988号
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 三菱重工業は、船舶の排出ガス規制強化に対応して、神戸造船所(神戸市兵庫区)内に、舶用低速2サイクルディーゼルエンジンの試験設備を設置する。試験機はシリンダー径60cm、4気筒の電子制御式で、完成は2012年春の予定。2016年以降の新造船舶搭載エンジンについて、NOx(窒素酸化物)排出量の80%削減を義務付ける国際海事機関(IMO)の第3次規制をクリアするための各種要素技術の検証に活用する。

 試験機(4UE-X3)は、当社の舶用低速ディーゼルエンジン「三菱UE機関」のUEC60LSE-Ecoをベースに製作する。IMOの3次NOx規制に向けては、選択触媒還元(SCR:Selective Catalytic Reduction)※を用いた脱硝システムの検証に着手しているが、試験機では、排気ガス再循環(EGR)、層状水噴射などの要素技術を検証していく。
 さらに、当社の保有する幅広い舶用機械製品をパッケージで提案する「プロジェクト“MEET”(Mitsubishi Marine Energy & Environmental Technical Solution System)」の技術も、試験機の運用を通じて検証する計画。

 当社はこれまで、長崎研究所(長崎市)内に設置した単気筒の試験機を運用してきたが、今後適用される厳しい環境規制に対応するためには、複数気筒を備えた大型試験機の導入が必要と判断。世界の舶用低速ディーゼルエンジン業界をリードする省エネ関連技術の開発を加速し、より高い信頼性で製品化に取り組んでいくことにした。

 試験機の設置場所には、隣接して電子制御式および機械式ディーゼルエンジンの主要部品を分解整備できるトレーニング設備を設置。試験機そのものを用いたオペレーション・メンテナンスのトレーニングが可能となる。
 これにより、顧客ニーズに応え、さらなる高品質サービスを世界に提供すると同時に、国内外のUEエンジンライセンシーのサービス対応力強化をはかる。当社は、開発・設計から製造まで一貫して手掛けるライセンサーとしての特色を活かし、製造技術とメンテナンス技術の両面で、顧客へのサービスを拡充していく。

※選択触媒還元はNOxを除去する際、燃費の悪化要因が少なく白金など貴金属も不要なことから、低コスト性や複合方式の採用による除去能力の高さが評価されている。

Tags: 船舶・海洋,アジア,I&Iドメイン
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