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加圧水型(PWR)原子力発電所向けに蒸気発生器(SG)3基
フランス電力(EDF)から受注

発行 第 4939号
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 三菱重工業は、フランス電力(EDF)から、同国内の加圧水型(PWR)原子力発電所で用いられる蒸気発生器(SG)3基を受注した。設備更新に伴う取替用で、納入は2016年からの予定。EDF向けのSG受注は、2005年の初受注から累計で15基となった。

【EDF向け蒸気発生器】
 EDFは本社をパリに置き、フランス国内で58基のPWRを運転し、欧州で約3,810 万戸の顧客を持つ世界最大級の発電事業者。同社は現在、設備更新計画に基づき、1980年代に運転を開始したPWRのSGを順次取り替えている。今回のSG3基は、90万kWクラスのPWRの更新のために使用される。
EDFのSG発注先を選定する国際入札において、当社はフランス原子力市場で提携しているComex Nucleaire社(CxN)と共同受注した。CxNはマルセイユに本社を置き、原子力施設への専門的なアフターサービスとメンテナンスを提供しており、当社とは2002年から提携関係にある。

 SGは高さ約21m、総重量は約300トンで、当社神戸造船所が製作を担当する。低合金製の耐圧容器※1の内部に、最新素材であるTT690合金※2製の伝熱管が1基あたり4,000本以上挿入される。これにより原子炉で発生させた熱を1次冷却系(原子炉系)から2次冷却系(タービン系)に伝え、水蒸気でタービンを駆動させる。PWRの中核的な役割を担う最重要機器の一つ。
 また、SGは高温・高圧環境下で、1次冷却水を保持する圧力障壁の役割も担う。このため、製作には設計、溶接・組立作業、検査をはじめ、極めて高度・精密な技術や豊富なノウハウ、経験が求められ、対応できるメーカーは世界でも限られている。

 EDFからは取替用SGを、2005年に6基、2009年に6基それぞれ受注しており、工場出荷も2008年12月から始まっている。当社はフランスをはじめ、世界の主要な原子力市場に対し原子力機器の拡販に取り組んできており、取替用SGでは、フランス、ベルギー、米国などで、今回の契約を含めて合計31基の受注実績がある。
 当社は2008年7月に神戸造船所のSG生産能力を増強し、2009年9月には高砂製作所の原子力タービンローター専門工場の建設も完了させている。2011年度には神戸造船所二見工場の原子炉容器・炉内構造物工場の拡張も完了する予定で、旺盛なSGの取替需要に加え、国内外で多数計画されている原子力発電設備の新設に向けた増産体制を着実に構築している。

 今回の受注は、これらの実績および製造能力に加え、当社の技術力、品質、信頼性、フランスの規格基準に対する適応能力などが高く評価されたことによる。当社は原子力大国であるフランスのほか、国内外の市場を引き続き重視し、積極的な営業活動および原子力の安全・安心の達成に力を注いでいく。

※1 低合金製の耐圧容器 = SGは加圧された1次冷却水および2次冷却水による強い圧力を受けることから、強靭な低合金鋼(マンガン・モリブデン・ニッケル鋼)を用いた耐圧容器として製造されている。
※2TT690合金 = 特殊熱処理により耐腐食性を高めた最新のニッケル・クロム・鉄合金。高温・高圧下での耐腐食性に優れたSG伝熱管の材料として使用される。

 

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