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1998年9月28日発行 第3761号

PCBの無害化処理技術を開発

 三菱重工業は、環境汚染物質であると同時に生態系への毒性が問題となっている有害化学物質PCB(ポリ塩化ビフェニール)を分解、無害化してしまう処理システムの開発に成功、製品化の目途を得た。380℃の熱水を用いて処理する方式のもので、低濃度、高濃度に関係なく、PCBを排水基準値の3ppbはもちろんのこと現行の分析装置では検出することのできない0.5ppb以下にまで分解する能力をもつ。再処理が必要な副生物を生成しないという他の処理法にない特長をもつ画期的なシステムで、最終生成物は塩、水、二酸化炭素の三つ。二酸化炭素の比はわずかで、水、二酸化炭素ともそのまま放出しても環境に何らの影響を及ぼすことはない。すでに実証プラントで性能を確認しており、本格的な実機プラントの計画に入った。


PCB熱水分解処理システム
PCB熱水分解処理システム


 この処理システムは380℃、270気圧の反応塔に水、PCB、それに触媒の炭酸ナトリウムを投入して熱水状態をつくり出し、そこに酸素を加えて反応を促進させてPCBを分解させるもの。


 触媒の炭酸ナトリウムがPCBから塩分を取り除くため塩酸が発生せず、ビフェニールの分解もあわせて行うため、後処理を必要とする物質が残らない。これが他の処理法にない最大の特長といえる。商品名はPCB熱水分解処理システム


 このシステムでは処理過程で外部に反応物質が漏れ出ることがなく、安全に処理できる。同時に塩酸などの腐食物質を生成しないので、装置の素材には高価な耐食材を使う必要がないうえ、耐久性が増すことになるなど数々の特長をあわせもつ。


 
PCBは熱を伝えて電気を通さないところからコンデンサー、変圧器の絶縁油などに使われてきたが、1968年の油症事件の原因となったことから1972年製造が禁止され、無害な処理方法がなかったため使用者には保管の義務が課せられた。


 
国内には未処理のPCBが各企業に貯蔵されており、一時、焼却によって処理する動きもあったが、焼却処理はダイオキシンの心配があることから取り止められたままになっている。


 それに替わる処理システムとして開発されたのが化学処理等の方式。すでに国内では五つの処理技術が通産省の認定を受けている。ことし6月、化学分解によるPCBの処理を認める法律が施行されたことと相まって、化学分解によるPCB処理が動きだしつつある。


 当社は今後、PCBを保管する企業などに向け販売していくが 、プラントは連続運転のできる液体流動床技術を用いるため、短期間での処理が可能。そのうえ使用する触媒は高価なものではなく、熱水温度も380℃と低い。したがってランニングコストを抑えることができ、経済性に優れている。


 
なお、この処理システムはアメリカの研究機関SRIの原理特許を使用している。


 
今回開発した技術は液体に混じったPCBの処理を対象としているが、将来的にはPCBの付着した容器、吸収した紙や布、さらにはPCBを含んだ汚泥等の処理技術の開発にも取り組む考えだ。

    営 業 窓 口 : 航空機・特車事業本部 宇宙機器部

製作事業所 : 長   崎   造   船   所
 

以  上