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平成10年6月1日発行

  世界初 パルス波・連続波一体型
アルミ溶接用YAGレーザーを開発
微細加工用エキシマレーザー加工装置も

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アルミニウム溶接用
「YAGレーザー装置」

微細加工用
「エキシマレーザー加工装置」

 三菱重工業は、一定の間隔で強い熱光線を発生するパルス波(PW)と熱光線を安定的に出力する連続波(CW)の2種類のレーザー波を合成、1本の光で出力するPW・CW一体型レーザー装置の開発に成功した。これまでPWとCWを光学的に一体化して出力する発振器はなく、これが世界初のもの。当社はこれを用いたアルミニウム溶接用「注1YAGレーザー装置」を商品化、本格的な販売を開始する。YAGを用いたアルミの溶接は割れを生み、難しい溶接の一つとされていたが、これを用いると安定した溶接ができ、これによってYAGによるロスのないアルミ溶接への道が開かれたことになる。当社は同時に、電子部品などの微細加工に用いられる「注2エキシマレーザー加工装置」も開発、あわせて市場に投入する。

 開発したアルミ溶接用YAGレーザー装置は、出力が1KW。溶接可能な板厚は1~2mmで、溶接速度は最大で1分間0.6m。この装置にはPWとCWの共振器を組み込んでいるが、この共振器を複数つなげることで、出力を5KWまで上げることができ、厚さ5mmまでのアルミの溶接にも狙いを定めている。

 従来、アルミはパルス波のみで溶接しているが、パルス波では間欠的な溶接となる。このため溶接部が冷え、割れを生じることがあり、加工が困難であった。
 このパルス波と連続波を合成することで連続波が常時送られるため、溶接部の冷えがなく、強度のあるきれいな溶接が可能となった。

 パルス波の幅、繰り返し数、出力、連続波の出力などの条件を容易に変えられるため、タンクやフィンなどに使われるアルミ合金や、ピストン、シリンダヘッドなどに使われるアルミ材など幅広い材質の溶接が可能となった。
 このレーザー装置はPW機、CW機としてそれぞれ単独で用いることができることから、鉄やステンレススチールなど従来材の加工にも対応可能で、“1台3役”の働きをする。
 しかもPW、CWを一体化しているため、1本の光ファイバーで利用でき、加工の位置合わせや加工ヘッドの取り扱いが容易という特長をもつ。

 この装置はパルス波、連続波二つの共振器を発振器に搭載しているため、幅2m50cm、奥行80cm、高さ1m20cmとパルス波、連続波別置き型に比べ3分の2の省スペース設計となっている。
 価格は本体のみで5000万円。
 なお、溶接に関しては経済的な注3TIG溶接とYAGを組み合わせたハイブリッド溶接も提供していく考え。

 一方、微細加工用エキシマレーザー加工装置は加工速度が1分間9m、繰り返し位置決め精度±5μmと高速、高精度のマシン。
 電子部品などに用いられる極細のエナメル線のエナメル剥離や、液晶モニター画面の解像度を上げる液晶カラーフィルターの溝加工などいろいろな微細加工に用いることができる。エナメル線や液晶カラーフィルターなど5μm以下という非常に高い精度で加工可能。

 発振器は寿命の長い、高品質の発振器メーカーとして知られるドイツのラムダ・フィジック社製品を使用する。ラムダ社の発振器はレーザーガスとレーザーチューブの寿命を従来に比べ10倍にのばすなどランニングコストの安いことが売り物の一つ。
 当社はレーザー光を均質化しフラットな光をつくりだすフライアイレンズやスリット加工幅70~200μmという金属材の微細加工を実現した線状ビーム光学系など各種の新技術を開発、これを組み込むことで高い加工精度を持つ装置となった。

 レーザー発振器の波長は248nm、出力は60W、パルス繰り返し数は1~200HZ、パルスエネルギーは1~300mJ。加工テーブルは400mm角。

 価格は、エキシマレーザー発振器、光学系、自動搬送装置、制御装置一式で1億円~1億5000万円。

 この2種類のレーザー加工装置は6月3日から5日まで、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれるJPCAショー'98にラムダ社と共同で出展する。

 また、本装置に関する情報を、当社インターネットホームページに6月8日から掲載中。
 (http://www.sdia.or.jp/mhikobe/products/ )

注1 YAGレーザー YAGはYttrium Aluminum Garnet の略。固体レーザーで、光ファイバーでレーザー光を伝送できる特長がある。
注2 エキシマレーザー 希ガスのエキシマによるガスレーザー。高出力、高効率が特長。
注3 TIG溶接 タングステン電極を用い、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスの雰囲気中で行うアーク溶接。

 

   営 業 窓 口 一般機械部一般機械グループ
   製作事業所 神  戸  造  船  所